「マルチポストは禁止ですよ」

mixiで「マルチポストは禁止ですよ」「広告は禁止ですよ」と、規約を持ち出して、以降の投稿を禁止する光景を見ることがある。

a.

明らかにコミュニティと関係のない広告ポストならまだしも、関係ありそうなコミュニティ複数箇所に投稿しているのを見つけただけで、「あなた**にも投稿してますよね、マルチポストは禁止ですよ」とmixiポリスが出動する。

b.

…ところで、なぜそれらは禁止されているのだろう。私には実は、この理由が、よくわからない。

許容すると限りなく投稿ができてしまう、という、消極的な理由ならわかる。しかし「限りなく投稿ができてしまう」のは、本質的にはシステムの問題だと思うし、そんなことをユーザが声を掛け合って取り締まるのは、単にシステムのやらない仕事をユーザがやらされてるだけではないか、という気もする。

だいたい、「マルチポスト」というのはとても曖昧なもので、誰にも観測されなかったらそれは「マルチポスト」ではないのだ。「ニュースキンで夢を叶えよう」コミュニティと「スコラ哲学」コミュニティに、同時に全く同じ文面がポストされても、両方を見ている人がいなければ、マルチポストは成立しない。

すくなくとも、誰にも観測されていない間は、マルチポストとは、投稿者とシステム運営者のあいだの問題のはずだ。

…そういう隠された「悪」を見つけ出すのも、ユーザの仕事なのだろうか。よくわからない。わからないというか、自分にふりかかるデメリットとして「悪」を想像できない。

他の人も、よく意味がわかってないからこそ、判でおしたような「広告ですね」「マルチポストですね」「規約に違反していますね」…という冷たい返答しかできないのはないかと推察する。

c.

マルチポストや広告という、個別のことがらの善し悪しについては、よくわからない。しかし、規約でそれらを禁止することで、何が期待されているのか、という、規約の目的地について、考えてみることはできる。

マルチポストや広告が禁止されているのは、それらの投稿に「投稿者との対話可能性」がなく、コミュニティの形成を阻害するからだ。

c2.

…正確には、「マルチポストや広告投稿者は、経験上、対話可能性が低いと思われている」と言ったほうがいいか。

  • 「同じことを複数のコミュニティに聞きまくっても、全てに返信が付いたらまともに対話できないので、たぶんその気がないのだろう」
  • 「広告めいたことを書く人は、自分の言いたいことだけ言えばいいので、そういう人とはまともに対話できないだろう」

という、一般的な判断に基づいて、マルチポストや広告が嫌われているのでは、ないだろうか。

c3.

逆に言うなら、マルチポストであっても、投稿者が、ひとつひとつの投稿への反応に、誠実に答える気があるなら、それほど問題にはならないと思う。

(自分が入っている複数のコミュニティが同じ投稿で埋まるのが迷惑…ということを言う人がいるのだけど、それは、mixiクロスポスト=記事のハードリンク機能がない、という、仕様の問題もあるんじゃないでしょうか。)

d.

そう考えていくと、投稿者とメンバーの間でまともな対話が成立するならば、最初広告に見えようがマルチポストに見えようが、関係ない…という結論になる。

もちろん、あからさまな「広告」に対してはつきあう暇はない。けど、広告かそうでないかが判然としない投稿に対しては、遮断ではなく、対話をもってあたるのが筋ではないかと思うのだ。

「またショップの宣伝か、情報のない投稿だな」と思ったら、「情報のない投稿ですね」などと文句を言わず、その投稿に「で、何が言いたいんですか?」と、自分で質問すれば、ひょっとしたら、その情報とやらが、引き出せるかも知れない。