今日の再生 (殺人の追憶, チョコレートファイター, 地球防衛軍3)

DVD

殺人の追憶: 終盤40分はほんとうによい。「今まで長々と描写しやがって! もう誰が犯人でもいいよ! おまえだろ! おまえだろ!」という狂った感覚を観客も共有できる。そこから見えてくる「犯人は刑事が捜査によって作り出した実体のない何かである」という結論は、この映画のラストの、ソン・ガンホのあの顔の中にあるものだと思う(「犯人」には実体がないがゆえに、絶対に自分の頭の中からいなくなることはない。引退した刑事は突然そのことを思い出した)。日本語吹き替えは、キム・サンギョンの声を小山力也があてているのがよい。終盤感情を剥き出しにするシーンは、吹き替えならではの楽しさがある。平たく言うと、緊張感が高まっていくシーンでも声がジャックバウアーなので一粒で二度おいしい。88点。

チョコレートファイター: 最近の洋ゲーはいろんなタイミングでAボタン押すと技が出るな! という感動を味わえる。おすすめは壁ジャンプ→広告を背にしてLT+Aで跳び膝蹴り。ジージャ・ヤーニン、最初に画面に出たときは「え……V6の人みたい……」と思ったが、だんだんかわいく見えてきたのでよかった。阿部寛の出てくるパートを全部削ったらもっとタイトで面白くなったと思うけど、こういう構成になったのは、大人の事情なんだろうか。「畳を敷いた場所のほうが本気で動けてる」ので、ヤクザ設定はそのへんも関係してるかも。ブルース・リージャッキー・チェン(椅子)、少林寺(棒と足場)、と、カンフー映画へのリスペクトも楽しい。62点。

見ながら「母なる証明」のことも考えていた

あれ観て「母の愛は狂気だわ」って素直に受け止める感覚は自分にはあんまりない。

最後のバスのシーンが名シーンだと私も思う。でも、あのラストのためには、その前の<真犯人>と面会するシーンが必要だったんじゃないだろうか。あそこで、座っていた椅子をけっ飛ばされるような強烈な絵(顔)を見せられる、という仕込みがあってのラスト。あの顔の後、私は、最後のシーンまでの数分間「あわわわ……」と梯子を外された気分になり、あわててすがろうとしたエンディングにうちのめされたのだと思う。

具体的に言うとこうだ。

「あんたらいままで2時間この映画みて母親に感情移入してきたけどさ、ほらみてこの人のこの顔。ウォンビンより大変そうでしょ。ってことは、この人のかーちゃんのほうが、この映画で描かれたかーちゃんより、たぶん、すさまじい人生を送ってるよね? そこから当然言えることだけど、ハードな人生の物語というのは、並行して無数に存在するよね? ならば、あなたがこの2時間観てきた物語に、どれほどの価値があるだろう? 感情移入って何だろうね?」

監督の底意地の悪さが炸裂している。

メモ

現在の自分は、「閉じた環境でパラメータが限定されている映画なら、そりゃ、映画というジャンルに対する予備知識は最小ですむわな(その「面白い」は映画的な「面白い」とはちょっと質が違うものだろ)」という鼻持ちならないことを考えているから、「CUBE」「SAW」と同じような意味合いで、「Buried」に屈折した期待をしている。

棺桶に生きたまま閉じこめられたら、五点掌爆心拳で脱出するようにすれば、修行の回想も含めて20分で映画にできるで……

videogame

普通の電子麻薬。