最近の再生 (デストラップ)
デストラップ (Deathtrap, DVD)
シドニー・ルメット監督の作品はちょっとずつ観ようと思っていたのと、ツタヤで「隠れた名作」コーナーにあったのとで、借りて観た。
落ち目の脚本家(マイケル・ケイン)が、自分が教えた学生(クリストファー・リーヴ)の書いた脚本を横取りしようと妻と画策するが……という話。
どうも芝居が大袈裟だな(奥さんがところどころで唐突に悲鳴を上げるところとか)、と思えるのだが、舞台劇の脚本をめぐるドタバタという設定なので、違和感はない。セットも舞台っぽく作られているし、そこでの演技が「こっちむき」。
むしろ、舞台的な嘘っぽさを納得して観ると、その上で作られていく状況がかなり面白く感じられる。前半の、脚本家・学生・奥さんの、三者三様の心理と、お互いそれを制するように被せていく会話から、笑っちゃうような緊張状態が作られていく様はじつにうまい。これは脚本のよさにもよるのかも知れないけど。
(全く知らないで観たが、アイラ・レヴィンの脚本の舞台を映画化したものだった)
マイケル・ケインは、バットマンシリーズの執事なんだな。マイケル・ケインやクリストファー・リーヴの、「いかにも俳優」な顔と、閉環境での心理のさぐりあいとが相まって、キャラクターがタラタラと汗をかく、手塚治虫の漫画のような雰囲気。
完成度は高い。最後はえーと、ことの経緯を考えるべきなんだろうか、「でした、ちゃんちゃん」でいいんだろうか。舞台ではこうはいかないだろうし、舞台版との違いが気になる。
この映画は82年のもの。検索すると……、シドニー・ルメット監督は70年代に「オリエント急行」や「セルピコ」「ネットワーク」などの作品を撮っている。80年代以降はどちらかというと「何でも撮る職人監督」的な側面が強くなっていったのかしら。
73点。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2000/07/14
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 16回
- この商品を含むブログ (16件) を見る