今日の再生 (時をかける少女)

時をかける少女 (1983, DVD)

この映画も大林宣彦の映画も、たぶん初めて。

なんの予備知識もなしで1983年の映画館に今の私が行ったら、最後のカーテンコールに、大喝采していたかも知れない。

「子供と大人の間の不安定さ」「気持ちのすれ違い」「別れと死」「とりかえしのつかない、かけがえのない時間」について、丁寧に描かれてる。終盤、コマ撮りで時間の旅が始まると、そこからは、はっとするシーンの連続。

2010年から、1983年が空想した「未来」(妹が高校に進学している1990年ごろ)を見ると、そこにいる原田知世が確かに、その後の原田知世を彷彿とさせる髪型や雰囲気(単に顔がほとんど変わらなかっただけなのだろうけど)なのも、感慨深い。

和子が画面の奥=未来に向かって歩いて行ったところで、曲とともにスタッフロール。ここでテーマ曲を歌っているのは「現在」の原田知世であり、最後のカット、カーディガン姿で画面奥からこちら=現在に走ってきて顔のアップで終わる、というのは、未来のことはわかんないけど、この女の子の現在の姿をフィルムに残すよ、ということを意味しているのであり、そこで私は、あぁそうだった、これってアイドル映画だったよな、ということを、思い出すのだった。

映画ってこれくらい象徴を駆使して作ってもいいよね……。

(などと、たまたま帰宅したときテレビでやっていた「ROOKIES 卒業」を見てしまって、思うのだった)

「あそこはきっとこういう意味でさ……」と語っているうちにどんどん評価が上がってしまう映画だと思う。時間がテーマの話は、何もしなくてもそれだけで観客に問いかけることができるから、ずるい、といえばずるいと思うのだけど。

83点。