カリギュラ

書いてなかった。

面子を選ぶけど、これは面白いですよ。

概要

  • プレイヤーはローマ皇帝にかしづく貴族だか元老院議員だかになって、皇帝を支持して、見返りに得点を貰う。
    • 支持の見返りに貰う得点(2〜3点)が、得点源その1。
  • 「新しい皇帝を立てて現皇帝を退位させる」という政争(「陰謀」)を行うときに、皇帝カードの上に支持コマを置くことができる。
    • 支持コマを置く権利を得るのは「陰謀カード」のビッドに残った人=陰謀に荷担したプレイヤーのみ。
    • 支持コマは、現皇帝、皇帝候補者どちらに置いてもよい。
  • 候補者が政争に勝つと、その陰謀に荷担していたプレイヤーは全員1点ずつ得点を貰う。
    • これが、得点源その2。これら以外の得点はほとんどなし。
    • 陰謀に加担したプレイヤーとそうでないプレイヤーの間で、「剣カード」を出し合い、政争の勝敗を決める。陰謀に加担したプレイヤーは、どちらを支持するかに関係なく、候補者側=攻撃側としてカードを出す。
    • 皇帝の「体力」と守備側のカードのトータルに、攻撃側のカードのトータルが追いつけば、陰謀が成功し、皇帝が交代。
  • 「陰謀カード」「剣カード」は、ラウンドごとに場に出る10種類のアクションの上に、影響力チットを順番に裏向きに置いて行くことで増やしていく。
    • アクションにはそれぞれ参加者の規定数がある。
    • プレイヤーの持ってる影響力チットは6枚。これを手番でどのアクションに置くかは自由。
    • 所謂「(力の大小がある)ワーカープレイスメント」。

面白いところ

ゲームやりなれた人なら、「なぁんだ……」と思うようなシステム。

今日日ふつうになっている「ワーカープレイスメント」(全体で数が限られている行動枠に、順番にプレイヤーがコマを置いて、行動予約/行動解決していくタイプのゲーム)で、ブラフがちょっとあって、その結果貰ったリソースで勢力争いをする。

やらせたいことはわかりやすい。しかしこの手のゲームは、盤面や状況がプレイヤーの得点に左右されがち。「あそこがトップだからこんどはこっちについて……」と理詰めで動かされて、ゲームが作業化することもある。

そう思って始めたのだけど、これがちゃんと、面白くなった。

簡単に言うと「プレイヤーがいらんことをしたくなる」→「場が波乱の展開になる」ような補助線がきっちり引かれている。

二つの勢力にわかれて争うタイプのゲームでは、1-3みたいな勢力関係になると、1が状況をひっくり返すには相当大きな力が必要なので、3の側に、寝返るリスクを背負う動機が少ない。普通は、少数派で勝ったときの得点を高くする(「山分け」の仕組み)など工夫されている。それだけだと理詰めの算数にしかならないので、じゃぁ旗色を決めるのは秘密にやろう、というデザインになるのだけど、それだと結局「旗色を決めるのは個人でこっそりやるので盛り上がらず」「勢力関係がオープンされた後は機械的に解決するので盛り上がらない」ゲームになりがち。

このゲームでは、そのあたりをうまく扱っていると思った。

まず、大量得点というのが存在しない。皇帝からの恩賜は最大3点。「陰謀」に荷担して皇帝を担ぎ上げる人数も、4人プレイだと微妙に人があぶれるようになっているので、全員が同じ方向に動きにくく、早い者勝ちの要素が入ってくる。「ここで寝返るとちょっとだけ出し抜けるかも」……と思わせる。それゆえ、場が流動的になりやすい。

さらに、ほとんど全ての情報が公開で、旗色を決めるのも人が見ている前でやらなければいけない。プレイヤーは、人の出方を見て始終ヘラヘラ笑っていることになる。

書きながら思ったのですが、流動性の触媒とでも言うべき「いらんことしたくなる」仕組みが、このゲームでは「限られたスロットに自分のチットを置く」というワーカープレイスメントで実装されてるわけです。ワーカープレイスメントというと「早い者勝ち」「手番重要」みたいな方向でデザインされているゲームが主流だと思うんですけど、「意思表示」や「場を荒らす」手段として使うこともできるんだな、と思いました。

とはいえ、理詰めでやる人は理詰めなのかも知れません。「なんでここに置くかって? そっちのほうが面白いからさ!」とヘラヘラしながら遊べる人向け。