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荒野の七人

キャラクターの描き分けをもう少し腰を据えて観たいと思った。

68点。

エストワールド

「開拓時代」「古代ローマ」「中世」を完全再現したテーマパークで、使われていたロボットが発狂して人間を殺し始める……という話。ロボットの一体の役で、ユル・ブリンナーが出ている。ユル・ブリンナーの顔面の一部が機械、というポスターが、子供心に、いつまでも記憶に残っていた。ツタヤで並べられていたので借りてきた。

ユル・ブリンナーは「荒野の七人」と同じ格好をしているので、続けて観ると、ウエストワールドで自分の隣にユル・ブリンナーが立ったときの興奮を味わうことができる。

この興奮は、「レッド・デッド・リデンプション」のそれとほとんど同じ。いや、本当に。

RDRで、出会い頭に通行人を突き飛ばしてしまってついには撃ち合いになって殺してしまい、おたずねものになって逃げ回りながら「自由度! 自由度!」つってヘラヘラ笑っているオレたちと同じ人種が、この映画の中で主人公になっている。

ロボットをコントロールする制御センターのやってることは、ネトゲの運営会社と同じだし。

作り物の西部劇世界をテーマにするのではなく、作り物の西部劇世界にアガるボンクラと、世界を必死こいてメンテする運営会社にフォーカスがあたっているところに妙な現代性がある。

検索でこの映画の感想を読むと「序盤のテンポがもっさり」というのがあった。でもそれは、主人公の行動を説明的に観ているから退屈なのであって、このテーマパークを運営してる側の気分で観ると、ハラハラできる。なにせゲームじゃなく生身の人間が行動してる世界だから、起きることの自由度が高すぎる。

プレイヤーがテーマパークの中で投獄されたら、普通、そこから通常生活に復帰するためのイベントが自動的に発生すると思うじゃないですかゲーム脳だったら。この映画の中での復帰方法は「連れが保安官事務所の裏に爆薬を仕掛けて壁を爆破→逃走」。んで、そんなプレイヤーの狼藉三昧を、毎晩運営が後始末しているのだ。そりゃ料金1日1000ドルでも安い。

一方で、5年後くらいのロックスターのゲームでは、これくらいのこと、可能になっているかも知れないよな、とも思える。輝かしい洋ゲーの未来……。

監督(マイケル・クライトン!)の未来を見越すセンスに脱帽……するわけではないが、今見ると面白い映画だと思う。

もうちょっと西部劇への愛情があると傑作になったんじゃないか。ユル・ブリンナーに追われて荒野から川を渡るんだけど、川の向こうはメキシコの匂いがするもんじゃないのかな。

主役の片方はジェームズ・ブローリンといって、ジョシュ・ブローリンの父親。「ユル・ブリンナーに追われるジェームズ・ブローリン」の映画だったら、「ハビエル・バルデムに追われるジョシュ・ブローリン」という見立てができて楽しかったのだけど、ジェームズ・ブローリンは追われる前に殺されてしまうのだ……そんなところに文句を言っても仕方ないですが……。

61点。

トロピック・サンダー

「ズーランダー」ではよくわかんなかったベン・スティラーの芝居が面白いと感じた。脚本がけっこうよくできてる。

70点。

ファイナル・デスティネーション

「スクリーム」みたいなのを観る客層に向けて、ちょっと意味深なエンディングを作ったら受けなかったので、急遽撮り直して、「死ねジョックス、イェーイ」! 的な形で終わらせた、という解説がついていて、結構面白い。

偶然の死などない、現在は過去の無数の選択の上に成り立っている…とは、『血と暴力の国』でアントン・シガーが語る言葉だが、ほとんど同じようなことを劇中の葬儀屋の黒人が口にする。この男はこのシーンにしか出て来ず、現実とも非現実ともつかない存在として印象に残る。もう一つのエンディングの名残なのかも知れない。

殺人ピタゴラスイッチみたいな、次はどうやって死ぬのか引っ張る仕掛けはどうでもよいが、話はそこそこまとまっている。

飛行機で修学旅行に行くという導入部は意表をついていて、なおかつ、生き残りの人々が生死を意識する理由付けにもなっている。確かにこの導入からなら、「なぜあいつが死んでオレがのうのうと生きてるんだろう?」という問いを繰り返すシリアスな話に転がすこともできるし、そうしたくなる気持ちもわかる。

63点。