ソーシャル・ネットワーク
今年5本目。
(tbd)
感想
生き馬の目を抜くようなベンチャービジネスの世界。そういうものだよね、と思って観ているから、友人との間で裁判になっても「うーん、まぁ、よくあることなんじゃないかな……」という感想になった。
映画としてすごい盛り上がりがあるわけではないのだけど、「あれっ、もう終わり?」と、時間を忘れるほどには没入した。たぶん意図的にパート構成を崩して作ってあって、生理的に「終盤」という感覚が来ないまま終わる。「そして……そして……」の連続。それでも疲れないのは、冒頭の早口の会話とBGMで、観るテンポのレートを出してくるのが効いてると思った。
ジェシー・アイゼンバーグの酷い奴芝居は「イカとクジラ」の方がイタい。同系統のキャラクターなので違和感ないというか、酷い奴としてこのキャストしか考えられない。
町山さんがTwitterで書いていて、なるほどと思ったけれど、この映画でアイゼンバーグ演じるところのザッカーバーグは「天才だけど共感能力の欠落した人(いわゆる、アスペルガー症候群の疑いがある人)」として描かれているのだそうだ(コーラを二度投げて全く配慮しないシーンなど)。そういう人だと思って観ると、とても悲しい話かも知れない。
「リアル世界とは別の、もう一つのネットの世界の立ち上がり話」でもないし「ベンチャービジネス物語」でもない。この映画で描かれるザッカーバーグは、ひたすら何を考えているかわからない。「ザッカーバーグは大学でモテナイ君だったので、エスタブリッシュされた連中への反感からfacebookを作ったのだ」という解釈が、劇中なされるが、それも、係争になったあと弁護士を挟んだ話し合いで「周りがそういう筋にしたいだけ」とも読める。
デヴィッド・フィンチャーはなぜこの映画を作ったのかが知りたい。「ゾディアック」といいこの映画といい、不可解な人物を取り上げた「事実に基づくフィクション」なのだけど、作った動機が「よくわからない」。
75点。
点を付けながら思うけど、私がつけているのは、映画の善し悪しというか「盛り上がり指数」だな。善し悪しなどわかりません……。