悲しみのミルク

ペルーの映画。監督はバルガス・リョサの娘なのだとか。

background

  • センデロ・ルミノソ / トゥパック・アマルー(MRTA)
    • 奥地に潜伏するテロリストを掃討したさい、テロリストの逃げ場として山間地の村が襲撃された。山村に住んでいた人々は国内避難民となり、海浜の都市部に移住した。
  • ペルーの「死者の日」12/1

story

テロリストが活発だった時代に村を襲われ、親族を酷い目に遭わされた少女が、母親をなくした。少女は母親と歌を通じて会話するような内向的な娘で、まともな働き口もない。母親の葬儀を執り行わなければならないが、母の村に埋葬するにはそれなりに金がかかるし、世話になっているおじを頼るわけにもいかない。折しも従姉妹の結婚式を控えていて、おじの家には余裕もないし、母親の葬儀もとっとと済ませてしまいたがっている。

恐怖にかられると、鼻血を出してのびてしまうような繊細な少女だったが、病院に運ばれると、<自分の中>にジャガイモを入れていることがわかる。少女に問いただすと、テロリスト時代に女達が犯されないようとっていた自衛措置なのだと言う。

少女は白人の金持ちの家に、パートタイムのメイドとして勤めることが決まった。体内にジャガイモを育て続ける少女は、職についても、過去の恐怖の記憶と戦うように、中から伸びてくるジャガイモの芽をハサミで摘みつづける。気性の難しい女性作曲家の家で、それでも少女は徐々に、歌によってコミュニケートしていくことを覚えていった。アイデアの枯れた作曲家は、少女の歌をインスピレーションの源にして曲を作るが、見返りに約束していた真珠の玉を、少女はもらえずじまいだった。

少女は真珠を盗みに屋敷に忍び込むが、屋敷の出口で気を失ってしまう。父のような庭師に抱えられ意識を取り戻すが、少女は、自分の中のジャガイモを取り除いてくれと、泣き崩れるのだった。

葬儀と結婚式が終わり、平穏を取り戻した少女の家の軒先に、庭師がジャガイモの花の鉢を置いていった。

notes

芸映画もちゃんと観られるようになりたいです。

64点。