最近の再生 (ちづる、ドラゴン・タトゥーの女)

ちづる (映画)

自閉症と(軽い)発達障害を背負った妹のことを映画にしようと、立教大学の学生が卒業制作につくったものらしい。
自閉症のことを知ってくれれば」という意図で作ったと、監督はコメントしているみたいだけど、それを超えた普遍性を感じた。
母親と娘、それを撮影する自分が、まるでひとつの自我であるように見える。ラスト、ソファの上でごろごろする母親と娘は、同じ人に見えるし、だからこそ、途中出てくる「ユニクロ行きたいから金をネコババした娘との喧嘩」が、魂のぶつかり合いに見える。
親に泣かれるってこんな感じだなぁ……などと思って観ていた。

ドラゴン・タトゥーの女 (映画)

予告のハードさで来るべき客が来てないだろこれ。フィンチャーは萌えを理解した。ラスト近くの「May I kill him?」はヤシマ作戦のアレに匹敵する名シーン。名シーンっていうか、なんだ、その……。*1
おっさんの視点だと、願望充足型の映画として観られる(ダニエル・クレイグジェームズ・ボンドが配役されているのも、意味深)のだが、それをまともに口にすると、女の子に「キモっ!」と思われるから注意が必要だ。
100回リテイクすること(がおもに町山さんの評価の中で)で有名なフィンチャーが、リスベットを丁寧に撮っている。食い気味の編集も、北欧の風景が退屈にならないようにリズムを作っていると思った。

*1:リスベットはミカエルに好意を持つのだが、土壇場で人を殺す判断をミカエルに委ねるという描写から、リスベットは恋愛感情を持っているだけでなく、精神的にミカエルに依存しているようにとれる。前半リスベットが性的に奴隷状態にあったという前振りと相まって、この「依存される」カタルシスはわかりやすいエロ漫画のようであり、男性視点で背徳感が高い。シーンは最高なのだが、手放しで喜ぶことがためらわれる