3/11 の日記

愛、アムール」(映画)

介護、ときどきサスペンスフル。ときどきコント。

絵が3枚(4枚?) 大写しになるところで、何かが夫の中に起きたのではないかな。それでいきなりの娘の訪問に泡を食って寝室に鍵をかけるなんてことをしてしまったんじゃないか。不可解なシーケンスだけど、強いて解釈するなら「頭の中で妻を殺していたところに娘がやってきた」とでも考えるしかないんじゃないか。

つまり、夫の心の動きを丹念に追って楽しむ映画なんじゃないか、と思いました。

最後、冒頭から予想された通りに夫は妻を殺す。しかし、実際にその行為に至る、あの長回しのシーケンスは、妻が最後、コント的に「あうあうあー」と呻いて夫の話を台無しにするのかと思った。その前の、水を飲まなかったりものを食べなかったりするコント(そう思います)からの天丼もあったし。

しかし、そうはならなかった。意外なほど唐突な殺しだった。逆に言えば、それはほんとうに「どっちでもよかった」ことなんじゃないか。夫はあそこでとっさに妻を殺すこともできたし、殺さないこともできた。それまでも、その二つは常に重なり合っていた。

ぞっとするシーンはいろいろあるけど、印象深いのは「おかあさんはちゃんと病院に見せたほうがいいんじゃないとね、もう少しいいお医者さんがおらすとじゃなかと?」(熊本弁に変換された)にマジレスするシーン。怖いねぇ…。

テレビ

語り継ぐものが「死なない知恵」になってしまって、急に「千年後の子供達に」と話がでかくなる。千年後! 「未来の考古学者がインターネットを見たときにブログは資料になる」なんて思ってブログを書ける奇特な神経の方が、よのなかには、いるのだろう。

4月に「ライク・サムワン・イン・ラブ」のDVDが出る予定で、これはファンドでお金を先払いした私のところに届くことになっているのだけど、語り継ぐものがあるとしたら、この映画を見ているとき、2時間ずっと下腹に感じるものに近いものなんだろうと思っている。