book:

『タウ・ゼロ』ポール・アンダーソン (ISBN4488638058)

「もし、1Gで加速する宇宙船のブレーキが壊れたら…」これはハードSFとして傑作というより人間の意志の勝利をうたいあげた小説という要素が練り込まれている故に感動を呼ぶものだ。
確かに基本的には相対性理論と古典的ビッグバン理論を基にしているのだけれど、文章はハードSFによくある「硬質」な類のものではなく、穏やかで適度に詩的。後半、宇宙船の速度と話のスケールがインフレーションする状況をうまく抑制できていると思う。最初スウェーデン人がどうこう言ってて眠くなりますがどうでもいいので斜め読みで可。
宇宙論入門の入門なんかにいいかも知れない。