murmur:

何かが変だ。オレはただのんべんだらりと行状を書き記すために日記を付け始めたはずではなかった。いやあるなしで言うならば、そのような「はず」は、あるもなしも付け始めには全く何も考えてはいなかったが、今「はず」があったということにした。生活から無駄をなくし、起きてから眠るまでを統御された知覚の下に置くという高邁な目的があったではないか。そのような意志の前に何がゲーム。何がミステリ。喝。ゲームといえば詰め将棋はどうしたのだおい。今からその性根を叩き直してくれる。そこに直れ。正座ッ」
と怒鳴るなり、老人はテーブルの上の埃を払って自分の湯飲みをでん、と据えた。
「あなたは誰ですか」
「儂か、儂はお前の超自我、生きるべき生を指し示す者だ」
「はぁ。しかしこの日記を付け始めて2ヶ月近く経ちますが、私は向上してるように見えませんか」
「見えんな。上のリンクの「本積」「本読」の差を比べれば数量的にも顕か也」
「なるほど」
「なんだ、聞き分けがいいと話が膨らまんぞ」
「そんな暇でもないので。判りましたよ」
「何が判ったのだ」
「なんで人はネタ日記を付けるようになるのか今判りました。ネタとは生活の不安の投影なんですね」