シャハト株上昇中

自分の中のゲームデザイナーランキングで、ミヒャエル・シャハトの順位が段々上がってきた。

【Michael Shacht略歴】

【Michael Shachtのゲーム】

全体的に、シンプルなルールのゲームが多く、プレイヤーの行動の選択肢は多くないので、薄味に思えることもある。でも、プレイしているうちに、そのルールのシンプルさが「何を」意味するか、デザイナーの深慮がじわじわと伝わってきて、「そういうことか!」と膝を打ちたくなる。

たとえば、「王と枢機卿」を数回プレイしていてわかったこと。

国ごとのカードに枚数の傾斜(7/8/9/10/11)があるのは、単に「手に入れ易い/手に入れにくい(希少価値)」という違いだけでなく、その国にもう何も置けなくなって、カードが無用になった後でも、そのカードが「ジョーカーとして処理しやすい/処理しにくい」、という違いをもって機能する。

最も枚数の少ないカードは、7枚のフランス。ここで勝つと有利になるので、フランスは奪い合いになり、すぐに土地が埋まってしまう。フランスに何も置けなくなったあとで、フランスのカードを取っても、使えない。そればかりか、全体の枚数が少ないので、2枚出しでジョーカーとして処理するために引いて来られる可能性も、低い。

「枚数の傾斜」「同色2枚出しでジョーカー」という、二つのルールだけで、「レアだからっつって流れを見ないで頑張って取ると後が苦しいですよー要はタイミングですよー」というシステムを実現している(ように思える)のだ。

凝ったゲームシステムでうならせるデザイナーといえば、クニツィーア(Reiner Knizia)だけど、クニツィーアのデザインは、「一つ余計な要素を付け加えて、個性的なバランスを作っている」ような感じ。シャハトのデザインは、「何か足りないのだが、その空白がちゃんとゲームの構成要素として機能している」ような感じがする。うまく言えないですけど。