観戦しながら寝る日記

4年前も今の家でサッカーを観たことを思い出す。そのときはまだ生活の道具もそろってなくて、近所に遅くまで開いているツタヤもなく、コンビニもショボく、今よりも雰囲気が悪かった。言いかたが汚いが、小便臭かった。

コンビニの飲み物置き場の側ではいい塩梅にできあがったスーツ姿の男女がこれから家でビールのみながらダラダラします、という空気を醸し出してカゴいっぱいにジャンクフードとお酒を抱えて「ワイン家にあるから」とヘラヘラ喋っていた。

というのが4年前の感想。今年は彼は気持ちの準備をしていたし、家に帰るのもちょっと早かったからそのときのような感情を持つことはなかった。それに他人が面白がっているものを自分が面白がれないのは悔しいし少なくとも何に面白さを感じているのかくらいは理解して寝たいじゃないか。

10時前に洗い物を済ませてNHKに合わせる。彼はサッカーのことはよく知らないが、どうもボールがつながらずに押されている雰囲気は感じ取れた。ビールを飲んでいるうちに眠くなって、1-0のときに寝てしまおうかと思った。しかしそれだと翌朝、1-0がどう変化したのか見ないまま結果だけを知るということになり悔しいので、前半が終わったころ、45分後に起きるようにタイマーをセットして横になった。おそらく今日は何も勉強らしい勉

…ピピピ、という音で、電気のついたままの部屋で目が覚める。目を細めてテレビの画面を見ると数字は 1-0 のままのようだ。なんだ勝ちそうだ、そう思ってまた横になった。うつらうつらしていると音量を小さくしたテレビから歓声のような悲鳴のような声が聞こえてきて、見ると同点に。そうか、あんまり押してなかったからそのまま負けちゃうか

…起きたら朝5時半だった。「めざましテレビ」では3-1で負けたことを伝えていた。

一つの現象に対して、いろんなことを言っている人がいるのを、彼は面白いと感じた。結局のところ、何が主要因になって勝ち負けを決めるかというのは見る人の解釈次第であり、そのへんにオレ理論の生まれる余地がある。セオリーを知れば知るほどオレ理論は複雑になる。そして、絶対にオレ理論の通りに展開するとは限らない。そこに彼は彼の趣味と同じものを見いだした。