汝は人狼なりや? ルール

このゲームはトランプでも代用できるので、面子がいる人はやってみると面白いでしょう。(ゲームとして、雰囲気のあるカードが売られていますので気に入ったら買ってみてください。)

ブックマークされているようなので、説明が足りなそうなところに少し手を入れました。カードゲームは「ミラーズホロウの狼男」「タブラの狼」などの名前で販売されています。

概要

村人の中に、人狼が2人います。かれらは夜な夜な起き出して、村人をひとり選んで、食い殺しています。村が滅びる前に、村人の中で誰が人狼か、探し出して、殺してしまわなければいけません。

村人は人狼が誰か知る術を持ちません。「誰が人狼か」を決めるために、昼ごとに話し合いの時間を持ちます。ここで人狼だと決まった人は、私刑にかかって殺されてしまいます。話し合いはすべて、根拠のない推測によって展開します。

準備

マスターが一人必要です。マスターをのぞいてプレイヤーが8人以上必要だと思います。マスターは、まず、人数分のシャッフルしたカードを、裏向きに配ります。配られたカードは以下のような構成です。

  • 人狼」ジョーカー *2
  • 「予言者」ハートのQ *1
  • 「村人」クラブ 残り全て

自分のカード以外見てはいけません。また、絶対に他人に自分の役を明かしたり、カードを見せたりしないようにしてください。

基本ルール

このゲームは「夜」「昼」にわかれていて、それぞれのフェイズで1人ずつ「犠牲者」が出ます(ゲームから脱落します)。人狼は村人を「夜」殺します。村人は、誰が人狼かを「昼」の議論によって決定し、その人を殺します。

このようにして村から人が減っていき、人狼か村人(予言者含む)のどちらかが、勝利条件を満たしたときに、ゲームは終了します。

殺されて、ゲームから脱落した人は、プレイヤーが目をつぶっているときに目をあけていて構いません(誰が人狼か見てよい)。ただし、ゲームには一切口を出してはいけません。情報も提示してはいけません。

このゲームの目的は、「自分が生き残ること」です。

あなたが無実の村人なら、昼の討議の時間に、罪を着せられないようにしてください。自分が疑われたら、他人に罪を着せてください。ただし、あまりに流暢に場の議論をリードすると、逆にそのことが、人狼にとっては要注意人物とうつるでしょう。

あなたが人狼なら、昼の討議で自分が人狼だと疑われないようにしてください。自分が疑われれずに村人を一人一人減らしていけば、必ず勝てます。

勝利条件

  • 人狼:村人と同数になる(2-2 or 1-1)
  • 村人/予言者:人狼を全滅させる

場にどの役が何人いるかは、マスターが把握しています。条件を満たしたとき、マスターがゲームを終了させ、勝者を宣言します。

予言者の能力

村人の中でも、予言者は、毎晩一回ずつ、村人が眠っているときに、村人の誰かを指さして、その人が人狼か村人かをマスターに確認することができます。(マスターが答えるので、この情報は正しいものです)

進行:概要

以下のシーケンスを繰り返します。

  • 夜:人狼がこっそり村人を選んで殺します
  • 夜:予言者がこっそり誰かの人狼の真偽を問います
  • (マスターによる勝敗の判定)
  • 昼:犠牲者が明かされ、殺したのは誰か討議します
  • 昼:村人の合議によりもっとも疑わしいと思われた人を殺します
  • (マスターによる勝敗の判定)

進行:夜

マスター:「夜になりました、皆さん目を閉じてください。風の音、木々のざわめきだけが聞こえています。さぁ、人狼が目を覚まします。(人狼役の2人が目を開ける)」

マスター:「人狼は今日の獲物を探しています…(人狼2人はアイコンタクトで殺す村人を決めて、指さす)…はい…わかりました…」

マスター:「人狼たちが眠りにつきます…次に予言者が目を覚まします…(予言者が目を開ける…いきなり1Rで狼に予言者が殺されていても、一応この手順は行うし、仮に2R、3R目で予言者がいなくなっていても、「予言者がいない」という情報は村人は知ってはいけないため、マスターはこの通りに言う)」

マスター:「予言者は占います…(予言者がいたら、他のプレイヤーを指さす)…はい…その人は…(マスターは、予言者が指さした人が人狼なら○、村人なら×とサインを出す)……です…」

マスター:「予言者も眠りにつきます……そして…朝がやってきます…みなさん目を開けてください…」

進行:朝

マスターは、狼によって殺された人を発表します。(つまり、最初のラウンドで殺された人は、ここですぐにゲームから除外されます)

狼と村人の数によっては、ここでゲーム終了の判定がされることもあります。

進行:昼

討議の時間です。村のもの全員(もちろん、村人のふりをしている人狼が、この中にいます)で、誰が人狼かを話し合ってください。このゲームにおいて、「確証」はありません。(さっき、指さす衣擦れの音がしたからおまえ…などという理由づけは、このゲームのバランスを破壊するものです。狼が指さすときには、村人全員でガサガサと音を立てておくことをお薦めします)

それらしいことをそれらしくでっちあげて世論を誘導してください。ただし、足元をすくわれないように…。

例:

  • 「死んだのはAさんだけど、AさんBさんCさんは今日この集まりに初めて来たんだよね? 初対面の人をいきなり指さして殺すかな? どっちかというと、最初は殺す側も根拠がないから、顔見知りを殺すんじゃない?」
  • 「…Dさんはそういうことにしたいんですね? わかりました…まぁ、このゲームではよくある論法ですね。」
  • 「あれ、Eさんはこのゲームやったことあるんですか?…剣呑剣呑…まぁそれはいいですけど… そして今、僕がBさんCさんに疑いを向けたときに、直接疑われていないのにそれを逸らそうとした…ひょっとしてEさんが狼で、BさんCさんのどちらかとペアという可能性も、ありですか?」
  • 「ふーむ、Dさんはよく喋りますね…まぁいいですけどね…ところでさっきから黙っているFさん、何か意見は? …緊張してる?」

進行:昼の終わり

討議時間(一定時間計ってください)が終了したら、多数決などで、その日リンチにする人(昼の犠牲者)を決めてください。数回、予備投票を行いながら、その情報も討議の参考にしながら話し合うのも、いいでしょう。

「犠牲者」が出て、プレイヤーが一人減ります。この時点で、人狼が全滅するか、村人が人狼と同数になったら、ゲーム終了です。

まだ勝敗が決まらない場合、「夜」に戻り、ゲームを繰り返します。

遊び方 - 村人になったら

村人は基本的に嘘を付く必要がないので気楽です。しかし、村人だからといって、「殺されるなら、仕方がないや」では、同じ発想の人ばかりが集まってしまったとき、ゲームとして成立しません。

過度に議論を長引かせるのはゲーム進行上好ましくありませんが、自分にかかった疑いは全力で晴らしてください。

他人に殺されるくらいなら、他人を殺して自分が生きるくらいの気持ちで…。

遊び方 - 予言者になったら

「予言者」は、場合によっては、誰が人狼であるか知ることができます。しかし、その事実を早々に明らかにしてしまうと、人狼に危険な存在とみなされ、夜、命を狙われてしまうでしょう。

しかしながら、「何となく予言者かも知れない」と思わせることはかなり有利です。村人から「狼ではない」という信頼を得ているわけですから、リンチにあう可能性が下がります。

問題は、自分が予言者であるということを主張したとしても、根拠のないこのゲームでは、それは、「そういうことにしたい」だけなのかも知れない、ということです。

村人に信用されたい人狼が、予言者の振りをしているだけなのかも知れません。

遊び方 - 死者になったら

殺されてしまった人は、自分のカードの表を向けて正体を明かすことはできません。プレイヤーの中に狼が何人いるのか、予言者はまだ生きているのか、という情報は、ゲームが終わるまで、マスターしか知りません。

殺された人は、ゲームには全く参加できません。死ぬ時に一言、ダイイングメッセージを残していくぐらいは、いいかも知れません(自分は本当は狼でリンチにあったのに、無実のようなことを言って絶命するなど)。

死んでしまった後は、プレイヤーの屁理屈をにやにやしながら聞くことができます。これもたいへんたのしいものです。

遊び方 - 人狼になったら

騙り・世論操作・意見の誘導、あらゆる手段を駆使して生き延びてください。

このゲームの意味がわからない人へのアドバイス

  • 現在のことだけではなく、次のラウンドのことも考えてみましょう。
  • 次に誰が生き残ったら誰を殺すか、ということを出発点にして、他人の利害を考えてみましょう。
  • 勝利条件/終了条件にも気を配りましょう。プレイヤーが4人になったとき2-2になってしまうとその時点でゲームは終了します。
    • そのことを起点にして、人狼の行動は予測できる場合があります(あるいは、村人のふりをしてそのように予測したと論理的に説得力のある意見を言うことができます)

おわりに/免責

プレイヤーがプレイヤーを「疑い」「殺す」というテーマのゲームに嫌悪感を示される方も少なくないと思います*1。また、疑われたのに言い返せないと、たいへんに落ち込むゲームでもあります。初めて参加される方には、よくルールを説明して、了解をとったほうがいいでしょう。上手な人の論理(屁理屈)展開を見てもらうのもいいかも知れません。

個人的にこのゲームは、論理構成ができて、ゲームの中で殺されても不満を言わない「大人」がやるものだと思います。小中学生などのレクリエーションで取り上げたりするのは、すこし考えた方がいいと思います*2

*1:いいわけじみていますが一応説明すると、このゲームはロシアに古くから伝わるもので、憶測がいかにいい加減か、それによっていかに簡単に他人が納得してしまうか、という恐ろしさを理解するゲームでもあります。

*2:…とまぁ、野暮ですが、こう書いておかないと怖いので