チャイナタウン

http://ejf.cside.ne.jp/review/chinatown.html

チャイナタウンに専門店街を作ることを競う。

システム

建設予定地がカードで配られる(運-選んでよい)。建設する建物がタイルで配られる(運)。同じ種類の建物をなるだけ繋ぐと、大きな収入が得られる。

ポイントは、その初期の手に入ったものから先は、全て他プレイヤーと交渉して自由に交換していい、というところ。既に建っている建物を動かしたり取り除いたりする以外は何をしてもいい。

使えるリソースは、手に入った建物タイル、建設予定地の権利、お金、既に建った建物の権利(!)。これらを交換して、なるだけ自分の店舗が大きくなるようにしていくわけだ。

要するに、交渉ゲームなのだけど、「手番プレイヤー」「親」「子」の関係が全くないので、完全に自由。「カタン」なんかでは不可能な、3面交渉なんていうこともできる*1

A「ミシンと花火交換しない? ミシン欲しいんだけど」
B「うーん、微妙。そのCさんの取ってる場所邪魔だから花火貰っても建てる場所ないし…オレを囲むように場所取られてるからなぁ…Cさん場所譲っては貰えないよね?」
C「うんとね、オレがそっちから場所貰いたいくらいだよ。つかそこ邪魔」
B「だーよねぇー…」
A「あーわかった、じゃぁさ、Cさんのこの場所と俺のこの場所交換しよう。Cさんこれはどう?」
C「うーん、特に問題ないかな? オレはそれで場所繋がるし」
A「どうする? Bさんこれに噛む? 乗れば、Cさんの場所が動くから、まだ花火屋建てるチャンスあるよね」
B「…うーん…なんか言いくるめられてる気がするけど、まぁプラスかなぁ…OK乗るよ」

など、など。いやちょっとこれ以上の例は僕の拙いゲーム能力では思いつかないのだけども、上手な人は本当に鋭い交渉を仕掛けてくる。

プレイ感

状況に応じてやることとロジックをパッパッパと決めていける能力*2が重視されるので、「ジェノヴァの商人」以上に、人を選ぶかも。交渉プランが閃く人が喋りまくれば、華のあるゲーム。皆無口だと何が面白いのか、わからないかも知れない。

下手いけど、好きな感じ…。少なくともカタンの交渉よりはずっと好き。有る程度リソースの選択肢が広くて、はたから聞いてて「おめー何寝言言ってるんだよ!」みたいな提案に笑えるのが、交渉ゲームの醍醐味なんじゃないかなぁ。

バランス

ゲームバランスにも、なるほどと感心した。おもな交渉のリソースは「建物タイル」と「建物タイルを置く場所(権利)」なのだけど、、これらを「交渉」材料に使うためには、建物をある場所に確定させてしまうのは避けなければいけない。

その場所に建物が建つということは、そこを拠点に、建てたプレイヤーが自店を拡大しはじめることを意味している。既に建設したものをわざわざ人に交渉で明け渡すようなケースは少ない。つまり、交渉のためには、確定している項目を減らし、自由度を上げておいたほうがいい。

一方で、このゲームは6ラウンドそれぞれの終わりに集計があるので、建物からの収入は累積する。だから、勝つには、なるだけ早く建物を確定させて、収入を取ったほうがいいわけだ。このへんにジレンマがある。

交渉ゲームの常だけど、終盤にだんだんやることがなくなっていくというのは、どうなのだろう。「ジェノヴァの商人」の場合は、交渉から段々特殊アクションを駆使した手順ゲー(アレしてアレしてアレ、はいドーンみたいなの)にシフトしていくので、まだやりようはあるが、このゲーム、最終ラウンドになると「もう…いいですね、何もないですね」となりがち。2,3,4ラウンドの火花散る交渉が嘘みたい。

コンポーネント

コンポーネントはaleaなのでまぁ一定以上のクオリティ。

タイルに書かれてある字も、海外ゲームにありがちな嘘漢字じゃなく、イラストも味があって、交渉の雰囲気も出た。

でもお金カードはちょっと見づらい。ペラ紙じゃないのはいいけど全部緑って。ペラ紙の紙幣をつけるのはaleaブランドとしてプライドが許さなかったってことですか。

*1:どうだ、いいだろう

*2:人狼汝は人狼なりや?)」に使うのと同じ脳だと思う