みんなほんとに「女性」にゲームさせたいのか

(以下、くだけた感じですいません。おのさんの提起が面白かったのでだらだら書きました)

ある時点で漫然と楽しんでいたものが突如「趣味」に変化する瞬間というのがある。この場合の「趣味」になる、ということはどういうことかというと、何らかの意味で向上心が生まれてしまう、ということだ。

たとえば「音楽を聴く」という受け身の行為にも、好き嫌い以外に「耳を肥やす」という目的があるので、「名盤」と名の付くものをかたっぱしから借りてきて聴く、ということをやりはじめたりする。僕もそうだ。というと偉そうだが、要するに虚心に楽しめない、ということであり、このことを読書に応用すると容易に「積ん読」の人になれる*1

簡単に言うと、貧乏性。旅行に行くことになったときでも、その土地にあるものや、その歴史的な意味を事前に知っておいたほうが、旅行が楽しくなるだろうなぁ…と思うと、ぶらっと旅行することができなくなってしまう。

何の話だ。まぁそういう、「趣味とは、楽しみが最大になるように自分の認識を変えるもの」という発想をする人がいるよね、ってことだ。

これに、決定的に男女の性差が出るとは思えないけど、まぁ有意な差はあるだろう。なんでも「趣味」的な目で見てしまう貧乏性気質の人に、男が多いか女が多いか、と調べたら、たぶん男のほうが多いと思う。

趣味未満の楽しさ

次。アナログゲームは「趣味」になるか。

アナログゲームの楽しみ>

  • 1.ルールとシステムを理解し、適応する
  • 2.勝つ、勝つために努力する
  • 3.楽しい時間を過ごす

僕は普段、新着ゲームをゲーマーのみなさんとテストプレイして、おもに1を楽しんでいる。おしゃべりも、もちろん楽しいけど…。1=50%、2=25%、3=25%、くらいかな。いろんなゲームのシステムに触れて、今まで知らなかったタイプの面白さがわかったり、ものすごく簡単なルールなのにゲーム性が生まれたりしてるのを見ると、あぁ楽しいな、もっとたくさん知りたいな、と思う。

2についても、言葉を入れ替えるだけで特に問題はないだろう。

で、3。楽しい時間を過ごすだけでいいやーっていう人がいる。ま、ゲームに限らずなんだってそうだけど。そういう人の中では、ゲームは「趣味」じゃないので、一つのものが面白いと思っても、自分から別のゲーム性を求める、ということはまれだろう。

(これはあと、カタン大好きっ子の人が他のゲーム買わないひとつの理由でもある。と思う。)

だからどうしろ、ということではない。

たとえば僕は芝居を自分から全く見ないけれど、友達に誘われるのであれば、それは折角の機会だから出かけようと思う。で、それなりに楽しいという体験をして帰ってくる。でも、自分から公演を探して見に行くか、というと、そうではない。ものすごい体験をしたら、芝居のことをもっと知りたくなるかもしれないけど、それまでは関係ない。

趣味未満の人と遊ぶ

以前、僕がそういうことをあまり理解していなかったとき(=もっと普遍的な楽しさがゲームにあると思っていたとき…)、会社の女の子と「操り人形」を遊んだことがある。

この間たまたま、そのことが話にのぼった。「そういや去年、やったねぇ」「あぁ覚えてる?」「覚えてるよぉ、楽しかった」。…さて、彼女たちが何を覚えていたと思いますか。Wachtrum(1赤建物)カードの絵柄の左に描かれている、楼閣の上で半裸で体育座りする男と、その脇でズボンをずりあげている男、です。いや嘘ではなくって。

…遊んだとき、この絵柄にみんなウケた、ということを覚えていた、わけだ。

モノより思い出、だ、まったく。

結論から先に言うと、そういう人が何かの拍子に「気に入った」と言ってくれたのなら、そのときやったゲームを、ことある毎にプレイしてあげるほうがいいと思う。楽しんでくれたからといって、「じゃぁこれは? これは?」と、相手に探求心があると勘違いして、男の子ノリで次々に出すと、わりと高い確率で相手は退く(そうじゃない女の子もたくさんいるけど)。別に彼女にとってはシステムがどうとか、それを理解してもっと楽しめるようになるとか、そういうのはどうでもいいわけであり。

そんなの、つまんないだろうか…?

でも、そんな無理にでも、1や2の楽しさを教えて、アナログゲームを趣味にしてほしいというわけでもない(趣味にしてくれたら、そりゃまぁ嬉しいんだけど)から、それはそれでいいんじゃないだろうか。

よくあの、世界に「引き込む」って言い方をする人がいるんだけど、向こうを引き込むんじゃなくて、こっちが向こうの「楽しい時間」に楽しみ方のモードを合わせてあげる、ことが大事だと思う。

あーなんか、酒井冬雪さんみたいな結論ですいません。

blurb

さて最後は宣伝。半裸で体育座りってなんだよ! 気になる! って思った方は、高価ではないので買ってみてください。ドイツゲーム(作者はフランス人だけど)入門にはお薦め。カードゲームなのにこんな頭の使い方するのか、と驚きます。

*1:その割に古典を読んでないのがよくわかんないですが…