3-006.聖女の遺骨求む

聖女の遺骨求む ―修道士カドフェルシリーズ(1) (光文社文庫)

聖女の遺骨求む ―修道士カドフェルシリーズ(1) (光文社文庫)

ミステリ的には普通。こうでもない、ああでもないなら、まぁそうだよな、といった具合の落としかた。それでも好感が持てる理由は、カドフェルの視点から見れば、頑迷な登場人物を虚仮にするような書き方がいくらでもできるのに、それをしてないからじゃないだろうかと思った。人にはそれぞれ体面を保つ自由があり、その自由をなるだけ尊重した書き口になっていた。
宗教と合理性の隙間でごにょごにょする、というのが、シリーズのこの後の巻でももつづくかわからないけど、この話ではわりと成功しているように感じた。もうすこし話を合理性側に寄せれば京極っぽいというか。

以下、話のネタを割っている可能性があります:

しかし、遺体をあそこに入れてしまって大丈夫なのだろうか。何か読み間違えてる?