異郷日記

今思いだしたが、明日は例の祭りの振り替え催行日であった。あぁそうだったそうだった。私はその祭りから逃れるために熊本を後にし、見知らぬ土地で一人こうして日記を書いている。そういうことにしておこう。明日からこの日記は「焚書官の日常 異郷編」としてはじまります。異郷の名前はこれから考えます。

というわけで、この日記を私は今、異郷で書いているが、ゴミ出しが大変なので(部屋の四分の一くらいがゴミ置き場になった)また熊本にもどらねばならない。しかし、明日は朝から、通りを我が物顔で馬が占拠している筈だ。湿った鼻息と、つややかな毛並み、たっぷりしたお腹の馬が、朝の公園や車通りの少ない通りでのしのしと足踏みをする。周囲では祭りの参加者たちが打ち合わせにメガホンをもって走り回る。そういう緊張感は嫌いではないが、祭りが始まると五月蠅いし馬糞臭いのである。

祭りの後は桜肉が安くなる、という話はあまり聞かない。昔は、祭りを盛り上げるために馬に酒を飲ませることがよくあり、馬が駄目になってしまってその後は精肉にするほかなかった、という話を聞いたことがある。今はそんなことはしないだろうし、もとの話の真偽も定かではない。今検索したら、祭りの期間中は桜肉を食べるのを禁じるという習慣があるのだとか。いやそれは初耳。山笠みたいだ(山笠期間中は胡瓜が禁止)。まぁ馬追いの祭りだから馬肉喰うのをやめよう、というのは、何かことさら理由があるわけではなく自主規制高じてそうなったような気もするが。