共和国日記
図嚢も新調することにした。帰り道、中央駅の前にある、八角塔の集合店舗の前を通るときに気づいたが、この店舗は各面をひとつのブロックにして定期的に店が売っているものが変わるのである。今日は天井から床まで一面分を白く塗って、K市の隣のN町の宣伝をしていた。
幼いころも馬車の窓からこの塔を眺めて通った。母親に「あのシンシューグというのは何のことか」と尋ねて、人前でそんな大きな声を出すものではないとしかられたことがある。後で知ったことだが、それは拷問具の隠語であった。南部に群生する蔓草の茎から取れる繊維は、水を吸うと収縮するので、それで拘束用のロープや人体の型に編んだ帷子といった工芸品を作るのだ。