ストーン

今年4本目。

内容

ジャック(ロバート・デ・ニーロ)には、若い頃妻に逃げられそうになり、娘を盾にそれを避けたという過去があった。

刑務所で仮出所審査の管理官を努め、定年を数ヶ月後に控えたジャックの担当に、ストーン(エドワード・ノートン)の案件が回ってきた。まじめなジャックは、感情的だったり話をはぐらかすストーンとはうまが合わない。しかし彼とて清廉潔白な人間ではなく、過去の歪みを正さないまま、妻となんとなく酒を呑み時を過ごす生活を送っていた。

ストーンは、妻ルセッタ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)をけしかけて、ジャックを誘惑させる。誘惑は成功するが、それはもうストーンがコントロールできるものではなかった。獄中でストーンは、殺人現場を目撃し、「神の音」を聞き、信仰に関心を持つようになった。

ルセッタにふりまわされるジャックも、信仰ある身だったが、もはやそれを信じているとは言えず、信仰篤い妻マデリン(フランセス・コンロイ)に付き合うように教会に通っていた。ジャックは、ストーンの回心によって、ストーンの仮釈放との交換条件、という理由を失ったルセッタとの密会に悩む。しかし信仰はそれを解決してくれなかった。

感想

話の筋を書いているとけっこう面白そうだが、そんなでもない。

サスペンス映画の割に登場人物が少ないから、「いったい誰が邪悪なのか」ということを探すように見始めるわけだけど、結局わからない。しかし「わからない」ということがテーマではなく(「邪悪なのはこいつだった!」といったことを話のヒキに使わない)、そもそもどういう人物かを判定するには登場人物の説明が足りてない感じ。全体的に必然性に欠ける。寓話的に撮られているのかもしれないけど。

定年を間近にして、こんな事件が起きるなら、確率的にはこれまでだってなんども、そんな危ういことは起きているはずだが、あまりそういう様子でもなく、主人公にも妻にもこれを「よくある危機」と処理する様子が見て取れない。実はそれほど起きない話なのか? かと思えば、ストーンがジョンの名前を知ってすぐ、ストーンの妻ルセッタがジョンの自宅に電話をかけてくる。なんというか、危なさに関するリアリティの水準がガタガタなのだった。

人物の必然性に「?」を抱えながら観ていたら、「結局、人間が邪悪になったり回心する必然なんてないし、神なんていないんだよ」、という結論で丸め込まれてしまったような。

まぁそんなことが気になるくらいにはヒキが弱かった。

とはいえ「つまんねー」と切って捨てるほどつまらなくはなく、私には理解できない「信仰」というものについて何か意味深なことを言っている部分は、映画が形作っている構造と一緒に考える価値はあるものだと思った。たとえば、刑務所職員は、出勤するとき銃を受付に預けてから構内に入る。もちろんこれは常識の中では囚人がいらんことをしないためなのだが、繰り返し銃の描写がされるのを見ていると、「いったい外はどっちなのか」という気がしてくる。銃をもったまま自宅の安楽椅子に座っている様は異常。

61点。

ノート