ウッドストックがやってくる!

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staff personnel note
監督 アン・リー ブロークバック・マウンテン
starring as note
ディミトリ・マーティン エリオット・タイチバーグ -
ヘンリー・グッドマン ジェイク・タイチバーグ(父) -
イメルダ・スタウントン ソニア・タイチバーグ(母) -
ジョナサン・グロフ マイケル・ラング(主催者) -

以下、ストーリーに触れます。

story

舞台はニューヨーク州ホワイトレイクの寂れた町。エリオットは売れない画家を続ける一方で、ホワイトレイクの実家のモーテルで両親を手伝う日々を送っていた。町にはこれといった産業もなく、エリオットは商工会議所の代表を任されてはいたが、閉塞した町の状況をあきらめかけていた。同時に、ユダヤ系の移民として生きてきて強情な守銭奴になってしまった母親と無力な父親のもとで、見込みのない家業を手伝うことに、エリオットはいい知れない束縛を感じていた。

そんな折、「ウッドストック」ロックフェスが開催場所を断られている、という話を耳にする。地元の音楽フェスの開催許可を取っていたエリオットは、ウッドストック主催者に連絡を取り、会場提供を申し出る。牧場主のマックスと契約をとりつけ、ウッドストックが開かれることになる。

準備がはじまり、町はにわかに活況を呈すが、町の保守的な人々はそれを快くは思わなかった。ヒッピーへの嫌悪感と、ユダヤ系であるエリオットやマックスへの差別がないまぜになり、人間関係は悪化した。フラストレーションをため込んでいたエリオットは、記者会見にマリファナを吸った状態でのぞみ、町への批判の勢い余って「フリーコンサートを行う」ことを宣言してしまう。

フリー宣言の影響もあって、町にはさらに人が殺到しはじめ、町は狂騒のちまたとなる。そんな中で、エリオットは自分が見たことのない父親の表情を知る。フェスに否定的だった町の人々も、それぞれが関われる形でこのイベントに参加しはじめる。

エリオットは会場に足を向けるが、途中で知り合ったカップルにワゴンの中に引き込まれLSDをやったり、旧友と泥遊びをしたりで、いっこうにステージを見ることはできない。しかし、フェスに触れ、エリオットの中で何かが変わりはじめていた。抑圧的な母親にエリオットははじめて反抗する。

三日間の嵐のようなフェスが終わろうとしていた。母は自分でヘソクリをためこんでいて、それを家のために使おうとしなかったことがわかるが、エリオットはそれを許す。最後に赴いた会場で、皆がゴミ拾いをするしらじらとした空気の中、主催のマイケルと話をする。エリオットは家を出ることにした。この先どうなるかはわからないが、人の力だけで何かが変わった。

note

  • 「スペインの牛追い祭りってあるだろ」「あのユダヤ人集落も売り物にならないかしら」「牛でユダヤ人を追えばいいんだよ」
  • 納屋に押し込めている謎の舞踏集団はなんなんだ、という感じするけど、あれは「ウッドストックの知らせを主人公に知らせる」という役目をもった重要な存在。

note 2

  • 70年に公開された映画「ウッドストック」は、マイケル・ウォドレー監督、マーティン・スコセッシ編集。
  • ウッドストックが映画になる、という話を聞いて、自分たちのライブイベントをその前に映画にしてしまおう、と考えたのがローリング・ストーンズで、これは同年12月の「オルタモントの悲劇」という結果を招いた。
    • 「フリーだからっていうんでセキュリティにこわもてのあんちゃん(ヘルスエンジェルズ)をビールだけで雇ったら人(黒人青年)殺しちゃったよ!」という事件。
    • 映画の最後、マイケル・ラングが「次は完全にフリーでやるよ。ローリング・ストーンズなんかでね。いいだろ」と言うのは、このことを指している。
  • それはそうと映画のラストは最終日明けて撤収日なのだから、数時間前までそこでジミ・ヘンドリックスが大トリで「スター・スパンクルド・バナー」をやっていたんだな。
  • 実際にフリー宣言したかどうかは不明。wikipediaによれば、チケット数18万、来場者総数は40万とのこと。
  • 牧場を提供した牧場主はマックス・ヤスガー。
  • そもそも「ウッドストック」とは、アルスター郡の地名だが、反対運動が起きたため場所変更を余儀なくされた。

感想

「祭り」を通して人間がどう変わるか、ということを、祭りの裏側にいた人間の視点を通して描いた話で、とても面白い。集団でみれば、ビューティフル・ドリーマーみたいな躁状態だったのかも知れないが、個人としては、多くの人が、非日常的な経験の中で自分の別の側面を発見したのだろう。ゴミの山の中で未来への希望と不安を語るラストはそのまま震災の瓦礫の山にオーバーラップする。

祭りを経験したらいやおうなく人は変わる。この映画で父は息子を「行ってこい」と送り出したが、つまりは「祭りを経験して、これ以上人生を傍観するな」と言いたかったのだ。

とりあえず、ウッドストックiPad App買った。

79点。