ホーリー・マウンテン

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staff personnel note
監督 アレハンドロ・ホドロフスキー -

以下、ストーリーに触れます。

story

(以下、私が発狂して書いてるわけではありません)

黒い服を着た巨大な帽子の男が、二人の女を裸にし、頭を坊主にする。

一方、キリストに似た男が荒野で目覚め、四肢のない男に介抱されて自分を取り戻す。男は猥雑なメキシコの町をさまよう中でローマ人に出会い、酒を飲まされて意識がもうろうとなったところで、自分の型を石膏でとられ、無数の似姿を作られてしまう。似姿の一つを背負いメキシコの町を歩くが、その像を置く場所はない。出会った半裸の娼婦軍団と協力して、男は似姿の像の顔を破壊し、風船にくくりつけて空へ飛ばす。

風船で飛んだ像を目で追っていると、高い塔の小窓が目に入る。そこから黄金色の巨大な釣り針が地上に降りてきて、釣り針に添えられた袋から金塊が取り出される。人々は色めき立つが、主人公の男がいち早く釣り針にしがみつき、塔の上へと侵入する。

塔の上には、白い服を着た巨大な帽子の男(以下、師匠)がいて、襲いかかる主人公を簡単にねじふせてしまう。欲望を剥き出しにした主人公に、師匠は「金が欲しいか」と問う。男が欲しいと答えると、師匠は男から大便を採取し、座禅をさせた男にその大便を焚きしめすことで、大便を黄金へと変化させる。白い師匠は黒い師匠へと衣替えする。

さらなる錬金術のためには、他の者の協力が必要だと師匠は言う。奥の部屋で、主人公の他にも人間の罪にまみれた「泥棒たち」が紹介される。

(ここで40分以上、7人の泥棒たちの奇妙な行状が順番に語られる)

ヘリで塔まで乗り付けて集合した「泥棒たち」7人と、師匠の従者の黒人女性、主人公をあわせた9人で、不死の秘密があるというホーリーマウンテンを目指す。ホーリーマウンテンに到達するには、現世の欲望を断ち切らなければならない。彼らはそれまでため込んだ金を燃やし、修行の旅をつづける。

ホーリーマウンテンのある島では、ホーリーマウンテンの探索に挫折した人々がこの世の楽園を作って生活していた。しかしそこはもはや9人のいるべき場所ではなかった。彼らはホーリーマウンテンを上り始める。さまざまな恐怖が彼らを襲うが、山頂まで彼らは堪え忍ぶ。

主人公をしたって、娼婦軍団の一人の女が、チンパンジーと共に一行を追ってきていた。師匠は主人公に、女と一緒に山を下りて、自分の塔を使ってよいと言う。残った8人と師匠は、山頂のテーブルに行き着く。そこに座っていたのは、不死の秘密を知るものではなく、人形であった。

「これだけだと思うか?」師匠はほほえみかける。「これは映画だ!」カメラが引いてスタッフの姿がうつる。「私たちにはすることがある。君たちは現実にかえりたまえ」主人公に言うのと同じように、師匠は観客に告げて、撮影セットを去る。スタッフと師匠たちをおさめたまま、スクリーンがホワイトアウトする。

完。

note

  • 犬か鳥かよくわからない生き物の開き、トラックに山積みになった何か
  • カメレオンvsカエル→カエル爆発
  • 少女の娼婦に自分の義眼(その場で取り出す)を渡して恍惚とする老紳士
  • 踊るガスマスク軍団の奥でキリスト像と寝る神父
  • キリスト像の顔に手を突っ込んでもしゃもしゃと顔を食う
  • ロック銃、ヒッピー銃、ユダヤ
  • 銃殺するとインクが飛散
  • 銃創から小鳥が…(人の感想で思い出したけどこれは美しい)
  • 警視総監の睾丸コレクション(睾丸をコレクションする映画を人生で二つ観るとは)
  • カニカル女性器をメカニカル男性器で絶頂に導きメカニカル子供を出産
  • ペルー人の人形に臭い塗料を塗ってインプリンティング
  • 我が国は目下400万人分の口減らしが必要です→ガス図書館、ガス博物館、ガス**…

というかまぁ、全シーン頭がおかしいので、思い出す限り書くと映画全部になる。

  • メキシコとペルーの緊張状態?
  • クライスト・フォー・セール(キリスト大安売り)

感想

大学のとき友達から「これは映画だ! ってオチの映画があるんやー。わっけわからんかった」と存在と「なんとかマウンテン」というタイトルをおそわったきりだった映画をついに全部観た。よくこんなもんを最後まで観たな。Tは偉い。

序盤=ばちあたりな映像の数々、中盤=おかしな泥棒メンたちのややばちあたりな所行の数々、終盤=カルトまがいの教団の探求の旅、と、わりとわかりやすい構成(全部異常な映像で撮っているだけで、「カルト映画」という感じはしない)。バリカンで女性を坊主にして、目玉の調度品のショットが繰り返されるオープニングで「これに2時間耐えるのは…」と身構えたが、その予想に比べれば格段に見やすかった。

ごっつええ感じ」の居心地の悪いコントを観ている感じの延長線上にある映像かも。いつ笑える瞬間が来るかわからないので疲れるけど……。

序盤の虚仮威し(キリスト像の顔を食うシーンとか…)が強烈すぎるので、中盤の泥棒紹介をよく覚えていない。同じくらいのボリュームで7人分紹介するのは苦痛。わざとやってるとしか思えない。円形の部屋で、床がぐるぐる回転しているなか、壁に掲げられてどんどんフレームインアウトしていく泥棒たちの像をひとつひとつ紹介していく、という形式を取るので、泥棒たちが全部で何人いるのかわからない。4人目くらいから「もう終わるだろ、もう終わるだろ」と思いながら観てた。

ラストシーンで「いままでご苦労! しかしこれは映画だ」と宣言することで、観客の感じた苦痛と泥棒たち9人の苦行の旅が重ねられる(あれはオチとかネタバレとかいうレベルのものじゃないだろ)ので、無敵といえばそうなのかも知れない。

意味とか深く考えずに映像を頭の中に焼き付けるタイプの映画と理解。

意味を考えようとすると何点だろう…43点くらいかな。