コンテイジョン

これはいい(ほぼ)ゾンビ映画ですね…! ゾンビなら予算出ないけど、社会派スリラーっぽくすればこんな豪華キャストでリッチな映画が作れる。

事態が進行して、マット・デイモンが目撃するものに泣きそうになった(奥さんの写真の話ではありません)。じっさいマットも半泣きだったし。なんでこうなるんだ…馬鹿じゃないの…。

映画の最後に、「この事件のはじまり」が描かれる。何で今更そんなもの…と思う。さまざまな人間の力が事態を悪化させたり、改善させたりした後では、じっさい全くどうでもよい。この映画が描いているのは、人間の営み(映像のなかの建物はなんと美しいことか)そのものだ。ウイルスという脅威に立ち向かう人間の努力ですらない。それを判らせるための最後なのであって、普通の「時系列いじり」とは違っている。

映画にはヒーローもヒロインも現れず、映画は地味に終結する。でも、終末映画をいくつか観ていたら、マットが目撃したものの向こうに、容易に、地獄を想像することができる。

それは特別な光景ではない。いくつかある人の営みの一つだ。事態はバラバラに、同時に進行する。ずば抜けた英雄もずば抜けた馬鹿もいない。今ここがそうであるよう…いやそんなことはどうでもいいですね…。

ダイアリー・オブ・ザ・デッド」「28日後」「ザ・ロード」などとの併映をおすすめ。

82点。