『家に棲むもの』,小林泰三,角川ホラー文庫,ISBN:4043470053
「ホラー」なのでかならずしもオチや辻褄あわせが必要でないことは判っているが、どうしてもこの人の短編だとオチを探してしまって、あれ終わり? と拍子抜けしてしまうこともしばしばある。オチより話の締め具合が気持ちいい(文体を変えれば京極夏彦の短編と言っても通じるかも)表題作と、屁理屈バトルが炸裂する『食性』が印象的。
自分の中では『食性』のように、それなりに筋の通る理屈を追っていったらとっても不愉快なことになってしまった、というような話が書けるのが、この作家の好きなところ。