『黒猫の三角』,森博嗣

さいしょ、言葉が意図的に鈍くしてあるような気がして、ああ、冒頭出てくる記述者というのは**のことなのだな、と思っていたのだが、そうではなかった。続刊が何か答えになっているのかも。あと「トランシーバー」とか「公衆電話」とか「ストア」とか「AD変換」とかいう道具や言葉の言い回しをしてるってことは…まぁたぶん…そういうことなんだろうけど…これは、あからさますぎるほどあからさまなので…いや、逆に、そういう、読者にちょっと何か発見させた気にさせるブラフということも充分あり得るな。この小説の登場人物はポリシーで全員携帯電話を使わないんです、とか…。

(すでに一応の完結をみている作品なので全部読んでる人から見れば、おまえは今更何を言ってるのだと思われるかもしれないけど、まぁ特にファンというわけでもないのでこういう感想になる。ちなみに、S&Mは7冊目まで読んだ。)

だからさぁ、ミステリは境界条件を明らかにすべきなんだよ。創元文庫のマークみたいに「舞台は現代」「探偵はシリーズ化」「叙述なし」などの印を付けて品質保証してほしいよね。…うそですけど。
ミステリの解決は正直どうでもよく、へぇそうですか、という感じなので、そこ以外にも読み込めば、仕掛けが施されているのだろうけど、繰り返して読む気になれない。ちょっと、長くないですか。

ネットの感想では、森作品に好意的な人なら…という評価をしてる人が多いが、好意的な人を突き放すというか、もちょっとひいた読み方してくれよ頼むよ、という書き方をしてあるので、逆に嫌いな人がむかむかしながら読むというのもアリだと思った。格闘シーンとかも限りなく冗談だし、『F』でもあった天才バトルをしょうこりもなく繰り返してるのは、これは主張ではなく、いっしゅの芸というかネタでしょう。