重力が衰えるとき

重力が衰えるとき,G・A・エフィンジャー,ISBN:4150108366

わー読みやすい。出てくるギミックはモディー/ボディーと呼ばれる、脳のソケットに差し込む人格/知識モジュールだけだし。

基本的に、ハードボイルドというのは、主人公が何を考えているかよくわからない点が謎になっているわけで、状況に翻弄されているだけだった主人公が、だんだん読者から離れて、勝手な行動を取り始めるところにこそ、面白みがあると思うわけだが、そういう意味では本作はかなり小粒。ふたつの対立する勢力がいて、実はこいつはAだったとかBだったとか、その程度の駆け引きなので。

たんなるSF風味ハードボイルドかと思って読んでいたら、ちゃんと途中でSF的に展開しそうになったので、興味を取り戻したが、そのSF的展開が大した認識のシフトも起こさず終わってしまったので、これも残念。

ルーディー・ラッカーなら2行で書くところを50ページくらいかけて悩んでいるというか。