憲法と平和を問いなおす

憲法と平和を問いなおす』 , 長谷部 恭男 , ISBN:4480061657 , 筑摩書房

内容

感想

自分が読んでいて楽しくなってくる解説書というのは、とても性向がはっきりしている。自分には「事実」を読み解く力がないから、「事実」に乗っかってあたかもそれが「原則」であるかのようにいろいろ言ってくるウソくさいものを一刀両断してくれるようなものを喜んで読んでしまうのである。

だから自分は、目を開くための読書をしているのではなく、自分の立ち位置を確かめて安心して目を閉じるための読書をしているのかもしれない。

でも、どれだけ事実に取材した綿密な記述の本でも、それを自分に読ませるやりかた(論拠)が、新聞の社説みたいなどうということのない陳腐さなら読んでもムカツクだけだし、考え方の基本をさがそうと読み始めた本なのに「これは一つの立場ですから実際は事実を読んだあなたが考えてね」などとばからしいことを言って責任逃れをしているだけの新書は、読んだあと本当に、金返せという気になる。

そういう人におすすめ。つまりオレ向きの、立憲主義/民主主義の「そもそも」の説明本。あとがきがチャーミング。というかこのあとがきを読んでニヤニヤしてしまう人向け(でも、そうでない人っているのか?)。そういう意味では実に良心的。

問題はこういう本を読んで「イェス! そうだよ、やっぱそうなんだよ!」と思った自分が、目を更に開いて先に進むにはどうしたらいいかという話なのですが、それは今試行錯誤中ということで。