検索さんいらっしゃい

高瀬舟」の感想文の書き方をさがして、この日記にたまたまたどり着いた夏休み終わりの高校生のみなさんこんにちは。ぼくは30過ぎのおじさんですが、あの話がよくわかりませんでした。正直「感想言え」と言われても「いやべつに…」という感じです。

小説の書かれた経緯や、周囲の状況、他の作家の同時代の作品などがいろいろと判れば、なるほどそれでこういう作品か、と納得できるものもあると思いますが、それだけ読んで感想言えと言われても、困りますよね。

とりあえず確認しておきますけども、読書感想文というのは、国語の宿題なのであって、あなたの人格を計っているわけではないので、何かを感じなきゃいけない、ということは、ありません。たくさん感じた人がいい点数を貰えるなんてそんなばかな話はない。よって、何を書いてもいいと思います。

正直に「何が言いたいのかわからなかったので、残りは別のことを書きます」でもいい(一応、規定の文字数は守りましょう。ルールですから)と思うし、兄の供述によるミステリとして読んで、結局兄が喋っていることは本当なのかどうなのか*1、という検討を加える、とかいうのでも、全然構わないと思います。そこに、読む楽しさ、書く楽しさがあれば。

書き方が判らないというと、すぐ自分の体験と結びつけて書け、とアドバイスする人がいますが、そういうのは信用に値しない。と僕は思います。

google:読書感想文 自分の体験*2

だって、「私には3年前まで祖母がいました。末期ガンだと言われました。祖母はベッドの上で日に日に小さくなっていきました。ガンの痛みというのは、それはもう本当に恐ろしいくらいなのだそうです。おばぁちゃんは毎日ベッドの上で、早く死にたいと言っていました」*3的な話が、みんなに書けますか? 瀕死の身内に出会ったことのある人が立派なものが書けるなんて、最高にアンフェアですよね。だいたい身内の話をネタにするなんて汚いです。

もちろん、本から触発されて、自分の体験と考えを深めることができるのであれば、それは素敵なことだと思いますけども、それを宿題として全員に強要される筋はないので、そんなことはいっさい気にしなくていいと思います。

*1:似た感じの話では、僕が読んだミステリのなかでは、クリスチアナ・ブランドという人の「ジェミニー・クリケット事件」というのが面白かったです。ISBN:4488262015に入ってます。おすすめ。

*2:晒しているつもりではありません。こういうやり方で書けば普通に書けるというやりかたが、リンク先からわかります。…でも、それで、おもしろいかな? あと、リンク先の多くが「どうやってこどもに感想文を書かせるか」というページであることにも気を付けましょう。要するに先生の側でも「どう書かせていいかわからないので、自分の体験でも書くように言っておこう」という考えを持っていたりするわけです。まぁお互い本気ではないのだし、そういう縛りのゲームだと思って書いとけば、それでいいのかも知れないですけど。

*3:高瀬舟』は安楽死を題材にした話だと言われています。