ヴィンチ

http://ejf.cside.ne.jp/review/vinci.html

概略・システム

ヨーロッパを舞台にした「シミュレーションみたいなゲーム」。ヘックスで区切られたマップの上で軍隊を闘わせるようなものではなく、もっと大きなスケール(国・地域)を単位にして大きく抽象化されています。シミュレーションゲームの世界では、地政学マルチとか呼ばれるものに繋がるタイプのものだそうです。

「ヴィンチ」では、各プレイヤーは興隆をくりかえす「帝国」を操り、領土から得られる勝利点を競いあいます。

「軍」という概念はなく、ただ手持ちの「人」の駒があるだけです。これが「国力」を表していると言えます。「人」駒を配置して自国の領土を表し、他プレイヤーの守る領土には、その駒をたくさんぶつけていって、その領土を奪います。

奪った領土は自分のものになりますが、自分の領土には「人」を配置しなければならないので、広い帝国ほど必要な「人」が増え、守りが手薄になっていきます。

最初に国を作るとき、その帝国の「特徴」を選ぶことができるのがポイントです。

システム-「衰退」

手駒になっている領民(=兵士)の数が限られていて、領民を1つ以上領土に配置しなければならないので、版図が広がりきった後は、伸びないし、防衛力も薄くなる。ここで、自分の国を「衰退」させる=放棄することを宣言すると、次のラウンドで新しい領土でまた出直すことができる。衰退中の帝国の領土は、なにもアクションを起こすことはできないが、そこから得点だけは得られるという仕組み。

つまり、帝国を広げては捨て、広げては捨てして、生きながらえていくように、できている。

この手の、多人数プレイで相争うゲームは、凹み出すとその凹みが次の凹みを呼び、気が付くと二強の争いをはたで指をくわえてみているという構図になりがちだと思うのだけど、このゲームでは、「衰退」でやりなおしが効く、という要素がそれを救っているみたいだ。

ただし「衰退」も万能ではない。特に、乗り換えるときに、「衰退宣言」と「新帝国の機能選択」で2ターン手番を使ってしまうのが苦しい。捨て時を見極める必要がある。

関連

検索すると、この路線でより本格的なものでは、「ヒストリー・オブ・ザ・ワールド」などがあるらしい。うーむ気になる。歴史に疎いのでシミュレーションゲームに燃えることはできないのだけど、それくらいまでならなんとか守備範囲になるのではないかと思った。しかしプレイ時間5時間って…。

プレイログ

1番手。「貨幣経済」「x2アクション」機能を取る。「貨幣経済」は、領土からの得点に+1。「x2アクション」で効果が倍されるので、領土からのポイントが3点になるわけだ。これは強いかも、ということで、スタートダッシュでポイントを稼ぐことに。しかしその代わりに得られる領民が少ないので、帝国がほとんど広がらない(他地域に侵攻するには基本3ずつ領民を使う)。そんなに強くない…。

そうか、この国はさっさと諦めて新しい国を伸ばして、衰退中の領土を守ればいいのか、という浅知恵に思い至る。

(しかしこれは全く逆で、ボーナス効率のいい領土はなるだけ人の干渉のない場所で長生きさせて、せこく生き続けるほうがいいと、後で反省しました)

第二の帝国は「山岳民族」「領地隣接」。領地隣接機能があると「自分の放棄した帝国に隣接してはいけない」というルールが適用されなくなるので、最初の帝国の領土にぴったりくっついて、新しい帝国を作ることができる。

…つまり、新しい帝国を前線にすれば、あたかも衰退中の帝国と現在の帝国を合わせて一つの国であるかのようなプレイが可能なはz…あ、なんか東の方から青い蛮族どもが…わぁ…すごい数…わぁわぁ…いかん分断される…たすkt

という感じで、「蛮族」を2つ持ったskohara帝国(青)に数で押されて分断されてしまう。あえなく放棄。「蛮族」は特殊能力は何もない。ただ得られる領民が6。2つもっていると、基本値の8と合わせて20人の領民が使える。

そんなこんなで青がリーチに近づく。

三番目の私の帝国は「革命」「将軍」機能。ふつう新しい国はマップの外からしか興すことができないが、「革命」機能を使うことで、任意の領土から新しい国を発生させることができる。つまりそれまで他人の領土であった場所にいきなりボコッと国が誕生する(だから革命)。「将軍」は、侵略時のみ援軍が7増えるという機能。戦闘力にはなるし素早く侵略できるが後が続かない。しかし贅沢は言えないのであって、これで分断しまくって勝利点を削るしかない。

ここでひどいことに気が付く。磊落した私の二番目の帝国の住民達が、細々と山岳地帯で生きながらえているのだ。そいつらが「隣接ルール」で邪魔して、新しい帝国が要所に入っていくことが不可能になってしまっていた。

懸命に削ろうとするが、ここでskohara帝国が第三期に移行して、そのボーナス点でゲーム終了。

…とまぁ、こんな感じで、想像力でちょっと補ってやれば非常に楽しいゲームです。