2.『キューブサット物語』

はてな年間100冊読書クラブ」。

キューブサット物語~超小型手作り衛星、宇宙へ

キューブサット物語~超小型手作り衛星、宇宙へ

動機

まわりの人がロケットロケットと言ってるとき、その困難さと思い入れを、自分は理解しにくいと感じているから(知識がない)。

内容

1999年から2003年の間、東大と東工大の2つのチームで行われた、「10センチ角、重さ1キロ」の人工衛星キューブサット開発の記録。2003年夏、数多くのトラブルを乗り越え、両大学の人工衛星は打ち上げに成功した。*1
キューブサットの成功は、大学の学生が、手作りで全て(材料の調達から、試験、打ち上げロケット搭載の契約交渉まで)の作業を行えてしまう、ということを実証した。

感想

自分のやったことがそのまま現実世界に影響を与える、ということ、大学というのはそういう勉強をするところである、ということを理解できるので、これは是非高校生の人に読んで欲しい本だ、とお節介なことを考えた。過去の自分にも読ませられれば少しは進路決定が変わっていたかも知れない。
文科系の大学生でも、間に合うかも知れない。この本の中の研究の進め方について、特徴的だと感じたことがあって、それは、一般的なことだからだ。

  • 1.目標を立てたら、その目標を達成するためにやることを、領域ごとに分ける。
  • 2.領域ごとにやることが決まったら、できるまでやる
  • 3.最悪の場合に備えて代替手段を用意する

これは理系の方法と呼ばれているものなのかも知れない。「文系」は、どれをやらないから文系なのだろうか。と眺めてみると、2.「できるまでやる」をいちばんやらなそうだ。「なんかよくわからんけどオレ本職じゃないからヨロシクー」と放ってしまうのが「文系」だと言える。
簡単に「なんか難しそう」と口にする人が「文系」だと仮定して、観察してみようと思った。(予想が外れたら、「難しそうと」と口にする人が「文系」である、と自称「理系」が定義したがっているかどうか、観察しようと思う)
googleすると、「論理的思考が必要なのは文系も理系も同じ」といった、どうでもいい(「酸素が必要なのは文系も理系も同じ」と言うのと同じくらいどうでもいい)コメントを見つけたりするが、ものごとを進める方法論の違いなんじゃないのか。
まぁどこでギブアップするのか、ってことなんだろうけど…そのあたりの理系の期待値がどれくらいなのか、というのはあるな。

接続

「宇宙開発」が、学生の工作から地続きで行ける場所だということがわかった、というのが重要だと思った。これまでより身近な感覚で宇宙開発関連の情報に触れることができるようになるかもしれない。

おまけ

カバーを外すと…うーわ! …とちょっとジワっと来た。(これは読んだ後見るほうがいい)

*1:ロケットを打ち上げたのではなく、ロケットに載せてもらって宇宙空間で衛星軌道に乗ることができた、という意味