3-001.博士の愛した数式
実は自分の中では[hundred]カテゴリは続いていた。g:book100に積極的にコミットするわけではないけど、数を数える意味はあるだろう、程度の意味だけど。
スピードと習慣が重要ということは理解しているので、えり好みせずジャンル小説以外のものも読む。
info.
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/11/26
- メディア: 文庫
- 購入: 44人 クリック: 1,371回
- この商品を含むブログ (1054件) を見る
大袈裟感想
これは神と世界の完全性と人間の不完全性についての話だ。朝、目覚めるたび、博士が見つける「私の記憶は80分しか続かない」という言葉は、私たちが目覚めるたびに宣告されている(はずの)「私はいずれ死ぬ」「私の能力は有限だ」という言葉とかわりない。
だから私たちは、知り得ないかも知れないものに触れ、不思議の前に頭を垂れ、ときどき教わる秘密に自分の世界を変えて貰うのだ。
ここがよかった。
私は18と14を思い浮かべた。博士の説明を聞いた後では、それらは最早ただの数字ではなかった。人知れず18は過剰な荷物の重みに耐え、14は欠落した空白の前に、無言でたたずんでいた。
長期記憶が続かない人がどのように人を好きになるのか、記憶を失う前の感情はどう続いているのか、あたりについて、説明があればもうちょっと感情移入できるのに、と思うのはSF寄りの考え方か。でもちょっと、こわくて想像できない。