3-003.ブレイン・ヴァレー

BRAIN VALLEY〈上〉 (新潮文庫)BRAIN VALLEY〈下〉 (新潮文庫)
『BRAIN VALLEY』瀬名秀明,新潮社

上巻がクスリともしない説明描写の連続だったが、下巻はそれらがひとつに結びつき、プロジェクトの全貌が明らかになる。3/4あたりからデロデロの展開に。なんというか、日本SFらしい描写というんでしょうか。伝奇SFというのかこういうの。
4つか5つかある楽器で音を鳴らし続けて後半どんどんテンポとヴォリュームを上げていく、というシンプルな構成。各パートのでき具合を視点をスイッチしながらながめていく様は、「料理の鉄人」を見ている感覚でした。
しかし終盤の混乱した世界で、ここぞとばかりに取り出される大ネタのアイデアは、なんとなく予想はしていてもうめいてしまった(昔この本の感想を一言で「神が****だったなんて」、と教えてくれた人がいたが、まぁそのまんまだった。)。構成の技術は(ひかえめにいって)素朴…素朴というか**の死んだあとに**の葬儀のシーンを重ねたり、もうちょっと考えたほうがいいんじゃないかと思った…ので、あまり好みではないのだけど、その素朴さのスピードをあげることで押し切ってしまった。面白かったです。
斜め読みなので、後半は「なんかすごい」としか形容できない。同じくらいのスピードでもうちょっと濃く読めるようになったらもう一度くらい読んでみたいと思った。