すごいオチのゴシックミステリ

片付けをしていて、キングの本が出てきたので、掃除もそこそこにぱらぱら読み返していた。

初期の短編集で、「ジェルサレムズ・ロット」という短編が収められているもの。

この話、登場人物の手紙と手記から構成されていて、最後に「…以上の手紙と手記は死亡したX氏からY氏に宛てられたものである。X氏は召使いのZ氏を殺害し…云々…思われる。また何々といった事実もなく、この点X氏は妄想を抱いていたのではないかとも解釈される」という、現実視点からのまとめが入って終わる。

登場人物の視点では、町の外れの「ジェルサレムズ・ロット」の集落に、自分の祖父がのめりこんでいた邪教をまつる教会があり、旧い書物に書かれた暗号的な文章を読み解いていくと、その恐ろしい内容が…と、ド直球のクトゥルフ話として書かれている。

この話の展開は、極めて普通だと思う(最後のまとめがなければ締まらない)が、この話の最後の緊張感から、「現実的視点からもゴシックホラー的視点からも解釈できる」という、別のミステリの傑作を思い起こした。ミステリのほうをおれは過大評価しすぎなのかもしれない、とも思った。

ナイトシフト〈1〉深夜勤務 (扶桑社ミステリー)

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