『数学ガール』,結城浩

最後まで行き着けるかどうか自信がないので、先に印象だけで感想を書いておこう。

数学ガール (数学ガールシリーズ 1)

数学ガール (数学ガールシリーズ 1)

本格ミステリで、名探偵とワトソン役のディスカッションが解決篇になっているものがある。ああいうのに似た感覚で読んでいる。

「パズル的状況→(こんにちは名探偵です)→説得・プレゼン力にしびれる」という、古典的なミステリの駆動力を、数学にあてはめている小説だな、と思った。数学の本でもあり、同時に小説でもある。

ミステリを読んで、名探偵の天才っぷりや斜め上っぷりにヘラヘラ笑うことが多い人には、本書はおすすめできると思う。少なくとも私はその脳で読んでいる。

なぜガールなのか

そこから発展。

キャラクターが設定されているのは、「読みやすくする」ためだけではないと思った。

自分一人で、孤独に数学の参考書を読んだり、問題を解いているとき、ミルカさんのような名探偵キャラを想像してみるといいよ、と、言っているのだと思う。そうすることで、自分の勉強を楽しくできるから。

すごい名探偵の出てくる小説を読むと、自分の一部がvm名探偵になってしまう。そしてそのvm名探偵は、本を閉じても生き続ける。

脳内にvm名探偵がいると、新聞のどうでもいい事件の点と点を繋いで「どうだい?」と目の覚めるような推理(こじつけとも言う)を展開してくれたりする。それは、とても楽しい。

同じように、vmミルカさんがいたらどうだろうか。

難しい数学の問題を解いていて「そうか!」と霧が晴れたとき、ふと顔を上げたときに、「うん、わかったかな?」と言ってもらえる。それは、とても楽しいだろうと思う。

子供っぽいやりかたではあるけど、何かをサステナブルにしたいとき、キャラ萌えするのがよい取っかかりになるのは、こういった意味もある。