今日の再生(恋はデジャ・ブ)
恋はデジャ・ブ(The Ground Hog Day , DVD)
事前の情報(町山智浩Podcastです…)で、ほぼ完全に話の筋を知っていたにもかかわらず、ラストは「あぁ、よかった…」と泣いてしまった。
話は簡単。「もし、ある一日が永遠に繰り返される世界に自分だけがとりのこされてしまったら?」
しかし、「時間SF・ループもの」ではない(ループもの、ではあるのだけれど、一日を攻略して秘密を解き明かすことに意味はないので、SF映画的な興味は薄い)。ある状況の下で男が考え成長する様子を、丹念に描いた、ラブコメ味の寓話として観るものだろう。
主演はビル・マーレイ。
これでもうだいたい、説明は終わり。あとは、状況設定とキャストから、想像できる通りの話。永遠に繰り返される一日の中、仏頂面で性格の悪いビル・マーレイは、最初は出鱈目で利己的に振る舞うが、それにも飽きて絶望し、絶望にも飽きて、生きる意味を見つけて、他人のために生きはじめて、話は終わる。それだけ。
まぁこれは、人の一生だよね。同じ日の繰り返しの中で、主人公は、次第に円熟していき、一日を大事に、うまくやれるようになっていく。最初は嫌われてビンタされるだけだったヒロインとも、幸せな夜を過ごせるようになる。
しかし、その幸せは、夜が明けるとなくなってしまう。朝になったらまた、最初からやりなおさないといけない。
もっと辛いのは、自分がどれだけ一日うまくやっても、そのことを知っている相手は、時間の向こう側に消えていなくなってしまうということ。自分のループに付いてきてはくれない。これは、好きになった人達を毎日失っているのと同じことだ。
それでも最後は、「永遠に生きるかのように学び、明日死ぬかのように生きよ」を地でいく生き方に、なっていく。
言葉にするとすさまじく陳腐だが、映画の流れを追っていると、このメッセージが、説得力をもって響くのだ。「人生の繰り返しに飽きた後、人助けなんてするようになるわけ?」と思っていても、観ると、「いや、やるよ」と納得してしまう。
ヒロインは最後には、自分の意志で積極的に、魅力的になった主人公を好いてくれるようになる。これがご都合主義に見えるか、悲しいシーンに見えるかで、この映画の評価は「面白いラブコメ」か「人生の教訓」かに、分かれるだろう。
人生のどのあたりにいるかで、観たときの感じ方が変わると思う。ときどき引っ張り出して、それを確かめたい映画。購入決定。
80点かな、と思ったけど、自分にとっては何度も観る意味があると思うので、1点足して81点。
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- 発売日: 2011/01/26
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