今日の再生(ワイルドバンチ)
ワイルドバンチ (The Wild Bunch, 1969)
Note 1
Wikipedia:ワイルドバンチ などを参考に
as | cast | detail |
パイク・ビショップ | ウィリアム・ホールデン | 強盗団の首領 |
ダッチ | アーネスト・ボーグナイン | パイクの相棒 |
ライル・ゴーチ | ウォーレン・オーツ | 強盗団のだらしない兄弟1 |
デクター・ゴーチ | ベン・ジョンソン | 強盗団のだらしない兄弟2 |
エンジェル | ジェイミー・サンチェス | 強盗団唯一のメキシコ人 |
フレディ・サイクス | エドモンド・オブライエン | 強盗団の馬番の老人 |
デケ・ソーントン | ロバート・ライアン | 賞金稼ぎのリーダー |
Note 2
- サン・ラファエルの村で鉄道事務所を狙った強盗が発生。犯人はパイクを首領とする強盗団。銃撃戦の末強盗団は金の袋を持ち去るが、その中身はただのワッシャーだった。
- タランティーノ顔のメンバー
- 言葉を失う銃撃戦。銃撃→撃たれて屋根から→銃撃→銃撃→一人の男が落ち→銃撃→ドサッ。
- 禁酒のパレード。酒を飲む男達と飲まない人々という対比は映画全体でも描かれている。
- 強盗団を罠に掛けようとして失敗した、ソーントン率いる賞金稼ぎのチームは、もともと皆罪人で、強盗団逮捕のために使われている身だった。
- 仲間割れしかける強盗団。と同時に、彼らは酒を飲みながら冗談を交わす、気の置けない仲でもある。
- パイクは強盗団という仕事が時代に取り残されていることを知っているが、同時に、昔のような男同士の紐帯と規律を、かけがえのないものだと考えている。
- 回想。ソーントンとパイクは旧友だったが、ある時の手入れでソーントンは肩を撃たれて逮捕され、パイクは逃げおおせたのだった。
- 逃亡の身であり、金儲けのネタを探す強盗団はリオ・グランデ川を渡り、メキシコに入った。
- 一員であるエンジェルの生まれた村に強盗団は入る。村は軍政に脅かされており、マパッチ将軍によって簒奪された後だった。エンジェルの婚約者もマパッチの元へと去っていた。
- マパッチ将軍の本拠アグア・ベルデで、強盗団は将軍から仕事を依頼される。内容は、軍用列車を襲撃し、武器を奪うというもの。報酬は一万ドル。村を襲われ女を奪われ、将軍に復讐を誓ったエンジェルは、協力を拒んだが、武器の一部を村に寄越すという条件つきで、元の通り、強盗団と運命をともにすることになった。
- 武器強奪計画は、給水停車した列車の連結器を外し、武器部分だけを奪って先に走らせるというもの。襲撃を予想したソーントン一団からの執拗な追撃があったが、途中の橋を爆破しソーントンをまくことに成功する。一味はまんまと武器の強奪に成功した。
- 列車強盗の手際が楽しい。
- 強奪が成功しかけたと思ったとき、貨車からソーントンたちの馬が出て来る「ハッ」とする絵づくりが実にいい。ハッとする感じを観客も共有できる。アタックキャリアーのハッチが開いて敵の戦闘機が飛んでくるビデオゲームの興奮に匹敵する。
- 生きていたソーントン一団にサイクスが狙われ、サイクスは強盗団からはぐれてしまう。
- マパッチ将軍に武器を渡さなくてはならない。用心に用心を重ねて、受け渡しは成功したように見えたが、最後の受け渡しで、エンジェルが武器をくすねていたことが発覚し、エンジェルは捕らえられる。
- 武器のネコババが強盗団の総意であると、エンジェルは口を割らないままリンチを受ける。
- 残った4人は覚悟を決め、マパッチ将軍に闘いを挑み、全員が死んだ。
- 大銃撃戦。観ている自分の感覚が加速しているのか、本当にスローモーションなのかわからなくなる情報量と手際。目を開いたまま泣きそうになった。素晴らしい。
- 強盗団の後を追い、ソーントン一団がアグア・ベルデに入ったときには、全てが終わっていた。あいも変わらず死体から装備をはぎ取ろうとする仲間たち。すべてに疲れたソーントンは仲間と別れ、アグア・ベルデの門で座り込む。そこにはぐれていたサイクスが、メキシコ人の村人と新しい一団を組んで現れる。ソーントンと別れた不甲斐ない仲間たちは、サイクス一団が殺してきた。ソーントンはサイクスたちと新しい人生を歩きはじめた。
Note 3
- 紐帯と規律
- パイク→ソーントン、パイク→エンジェル。
- パイクは女をあてがわれて虚無を感じたからエンジェルを救うことにした、というだけではないだろう。ソーントンを見捨てたときのことを思い出したのではないか。
- 「これで自分だけが逃げおおせたら、前と同じ、何も変わってないじゃないか」
- ソーントン
- ソーントン以外は皆赤ら顔の名もないごろつきばかりなのだが、途中「こいつらろくでなしと一緒でもなんとかなるか」と一瞬だけ思わせるシーンがある。それゆえ、ラストの「こいつらやっぱだめだ……」という失望は大きい。
- パイクの銃を取り上げるシーンは「またお前ばかり先に」だし「お前は仲間を見つけたんだものな」でもある
- 何の後ろ盾も大義もなく、旧友も信じたい仲間もいなくなってしまったことと、そもそも開拓時代など終わっているのだし、生きる場所なんてなかったのだ、という諦念が、ソーントンのしょんぼりしたシルエットから見てとれる。
感想
ロバート・ライアン、アーネスト・ボーグナイン、ウィリアム・ホールデンの順でよかった。あと執拗にオレの脳内でアーネスト・ボーグナインにアテレコしようとする富田耕生の声もよかった。実際に吹き替えでも観たい。
この映画のラストを見ても「よし俺ももう一度!」というやる気は出ない。ソーントンがサイクスからの申し出を受けるときに、クックック……と笑い出すのだが、あの笑いは、「自分も世界も、形が変わってしまった。それでもまぁ生きるしかないよね」というあきらめに満ちていると思う。
90点。