華麗なるアリバイ

「最大のアリバイは……**だったのだよ」

な、なんだってー!

……という、サスペンスに言葉でオチを後付けする感じの、言った者勝ちミステリ映画。ミステリ小説の映画化ってこんな感じのが多いのは何故だろう。貶すわけではなくて。

冒頭の情報量で観客を引き込んで、あとはなんとかサスペンスで保たせて、ちょっと気の利いた美術や演技で、なんとなーく観た気になるんだよなぁ……と思いながら、安心して観ていた。

まだ、この手のヨーロッパのミステリ映画にピンと来ないので、もっと沢山観ないとだな。白人の顔と名前を結びつける能力を上げないと、序盤は「えーとフィリップってどいつのことだっけ……」と戸惑ってしまい、話や伏線を追う余裕がない。

そういった慣れの問題に加えて、映画の前にクリスティを読んでおくのは基礎教養なのかも知れない。私の知らない話だった。

ホロー荘の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ホロー荘の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

Amazon評だと夫人のキャラクター造型がいいみたいだけど、映画ではそこまで前には出てなかった。「この話、ポアロいらなくね?」ということで小説から劇化されたらしい。『春にして君を離れ』に並ぶ、非ミステリ(ただし書いているのはクリスティなので手腕は鉄板)と言われれば、読むほかあるまい……。

63点。