キック・アス

今月3本目。

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感想

全体的に「スパイダーマン」なんだけど、暴力に対するスタンスが面白い。「タクシードライバー」「マトリックス」をうまいこと使ってるな…と思いながら観てた。
劇中「スパイダーマン」のテーマ=「大きな力には大きな責任が伴う」という言葉を、部分的に否定して、一方的な暴力を振るう展開になるのだが、そのことの危うさを、引用を使って「あえて」という味を付けることに、成功していると思った。
ビルの窓からヒーローが現れてガトリングガンで敵を皆殺しにして味方を助ける、というのは、そのまんま「マトリックス」のモーフィアスを救出するシーンなわけで。普通そこまで一方的な殺し方をしたら「何でおまえにそんな権利があるんだよ」て、さすがに引き気味になるとは思うけど、「いやほら、マトリックスってあったじゃん」と引用してみせることで、なんとなく納得してしまう。
なぜそこで納得してしまうのか考えたが、「この映画では、やりすぎとしか思えない手前勝手な暴力を、<この世界は間違っているから破壊するのだ>という暴力として正当化してますよ、へへへ」というメタなメッセージがくみ取れるからじゃ、なかろうか。
そもそも、主人公のデイブにとって、敵が「麻薬を扱ってる」だったり「児童虐待してる」だったりというのは、相手をぶちのめして自分の正義を貫く口実なのであり、実際罪状は何でもいいわけで、そこは「タクシードライバー」のトラヴィスと全くもって同じなのだ。
ただ、そこから、「…そして、皆がヒーローになろうとしはじめたんだ」という結論が出てくるところが、妙なポジティブさを醸し出している(この結論が最後いきなり出てくるのではなく、あらかじめ冒頭で示されているのは巧いと思った)。「ファイト・クラブ」の終わりにも似ているな、と思った。
原作でどこまで描かれているのか、わからないけど…。
話はどってことないのだけれど、引用が厚みを作っていて、心に残った。以前ならわからなかっただろうそういった引用が、少しずつ判るようになってきたのかも知れない。映画を見始めてよかったな、と思える。
あと、殺陣は問答無用に盛り上がります。はい。

78点。

参考、もしくは、これから観たい映画

他の人の感想もググりながら補完。よくわからないところも多い。