7月と8月に観た映画のまとめ、8月の感想

7月と8月に観たものまとめ

<7月>

1. SUPER 8
2. スカイライン - 征服
3. キラー・インサイド・ミー
4. サラエボ、希望の街角
5. コクリコ坂から
6. ブンミおじさんの森
7. スコット・ピルグリム

「神ジブリ」かなんか知らないけど「コクリコ坂から」より面白い映画が7月は4本ありました。

<8月>

1. ブルー・バレンタイン
2. 戦火のナージャ
3. お家をさがそう
4. 神々と男たち
5. アリス・クリードの失踪
6. 木漏れ日の家で

「ブルー・バレンタイン」は素晴らしいです。暗い気持ちになるから(みんな観ろよウヒヒ)、という意味ではなく、映画のつくりとしてほんとうに。

今年の累計、51本。

以下、8月の感想を書いてなかったので、思い出しながら。後で帳面など見て書き足……す必要あるかな? まともな感想が書けないので調べる必要あり、というのはいくつかある。

神々と男たち

イスラム過激派の台頭で治安が不安定なアルジェリア修道院での生活。修道士達は使命のため村にとどまることを望むが、理不尽な暴力の前に命を落としてしまう。(75)

木漏れ日の家で

ポーランド人の老婆が、住まいを息子に譲り渡すか渡さないかでぐだぐだと揉める。裏には小金持ちと貧しい音楽教室があるのだが、そことのやりとりもほとんどなく、老婆の主観で話が進行。いぬちゃんがかわいい……(67)

戦火のナージャ

前作「太陽に灼かれて」からまさかの続編、とのこと。ここに登場する「ナージャ」はじめ主要な人物は、前作に出ていたのと全く同じ人物がキャスティングされ、ドイツのロシア侵攻以降が描かれている。年代を見ていたつもりだったが、「あれは**より前?後?」と考えていくと、時間の辻褄がよくあわない。それぞれのシーンの映画的な魅力は山盛り。冒頭のスターリンのデコピン→ケーキのシーンで、「この監督はわかってるな!」と思うこと請け合い。ヘラヘラ笑っていると残酷すぎる描写をそれに乗せてきたりする。(79)

お家をさがそう

子供を授かった夫婦が、自分たちの住む場所を探してアメリカ南部を旅する。求める場所は、遠ざけていた妻の生家にあった。
ポーランド系? とネイティブアメリカンの血を引く夫婦(結婚はしていない)の旅が軽快に描かれる。立ち寄る先で、いろいろな夫婦の形に出会うが、それもどこか憎めない人々として描かれている。全く不意打ちで登場したマギー・ギレンホールの怪演(ネイチャー指向のナマステ夫婦)への主人公ふたりのブチ切れシーンは最高。
奥さんの生い立ちと心のありようがちょっとつかめなかったので、生まれた家の重みをちょっとはかりかねた。ちょっと泣いたけど。(76)

アリス・クリードの失踪

綿密に計画したはずの身代金誘拐の歯車が狂う話。犯罪プロフェッショナル描写を見せる映画。犯人二人が実は……というネタと、それをとっかかりにしたくすぐりに、隣に座っていたカップルがクスクス笑っていた。
使われていないフックがいくつかあったので(携帯が複数台、SIMカード)かなりカットされてるんじゃないか。
はなしの興味が「Xはどちらがわにつくのか」「Xの行動に迂闊なところはなかったか」なので、ものすごくわかりやすい(予期しない方向から弾がとんでくることはない)。Xの行動は実際すごく迂闊で、観客はそれにハラハラさせられる。要するに「志村うしろー!」的な緊張感で引っ張っているわけだが、馬鹿馬鹿しくなるほどではなかった。(70)

ブルー・バレンタイン

現在と過去(7or8年前)をスイッチさせて、愛の始まりと終わりを描く。音楽が鳴り続ける過去の描写がほんとうに残酷。
誰からも祝福されて一点の曇りもないような結婚ではなかったし、お互いに問題を抱えていないわけではなかった。でも結婚なんてそういうものだと思っていたし、お互いの問題も、些細な愛すべきものに見えた。それはたぶん正しかったのだけど、そこからそのまま二人とも、大人になることができなかった。そういう話。
夫は妻を殴ったりしない、子供にも好かれる「優しい」男なのだが、その優しさ、繊細さを持ち続けているがゆえに、すぐに「今何考えた?」「なんで今そんなこと言う?」と相手の気持ちの尻尾をつかんで入って来ようとする。
そしてそういったことが、結果を先にして描かれる。現在のうだつの上がらない夫を見て「だめだなこいつは」と、最初思っていても、「そうか、元々こいつは繊細な奴なんだよな……だから、あんなダメな感じになっちゃうんだな」と、どうしようもなく、納得させられてしまう。
話が進むと、「一見夫だけがどうしようもないように見えるが、妻にも負い目があり、二人ともが自分の問題をそのままにしてきた」ことが、だんだん明らかになる。事態に気づかされるころには、二つのシーンの間にある時間が、重みを伴って感じられ、簡単に「だからこんな結婚うまくいくわけないと思ったんだよ」などとは、切って捨てられなくなる。主人公達と同じように、どうしようもない場所に立っていることに気づく。
そして最後の、幸福の絶頂とブチ切れの後のバラバラになった気持ちを交互につなぐ追い込み……ドーン!……ほんとうにひどい……。映画のつくりとして、じつに、巧妙だ……。
まぁ私は結婚してないから、結婚を扱った映画で何を言っても……だけど、「体験した」「汗をかいた」(!)人にしかわからない、のであれば、そんな人には言葉も映画もいらないのだし、そんなかんがえの人こそこういう映画を観て、一回殺されてみてほしいと思う。あなたが現実と思っているそれは、時間軸をちょいちょいいじるだけで、容易に、普遍性のある物語になるのかも知れないのだから、体験した人しかわからない、なんて軽々しく言ったらいけないんじゃないのかな。(82)