『夏のレプリカ』,森博嗣,講談社文庫,ISBN:406273012X


T大学大学院生の簑沢杜萌は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。眩い光、朦朧とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは?『幻惑の死と使途』と同時期に起った事件を描く。

睦子おばさま、最高デス! 久しぶりに声上げて笑った。ミステリ世界にラブコメが侵入してるように読めるが、それは萌絵や犀川を中心にした物語を読んでいるからそう思えてしまうのであって、向こうにしてみればこっちが外なのだ。S&Mではない登場人物である杜萌を主要な登場人物として扱うことで、<中と外>についてかなりストレートに書いた話に思えた。