捩れ屋敷の利鈍

まだ読み中。
一応自分が認識しているこのシリーズの「仕掛け」というのがあって、それはまぁ大したものではない、というか自分でもわかるようなものなんだけど、それを気取られないようにする印象操作が巧み。ミステリ作家的に巧み、というのではなくて、シリーズ小説作家的に巧み、というか。

冒頭、いったんある人物らしい人物を出して「あれ」と思わせて、すぐ後で実はその人じゃなかった、ということを明かすのだけど、「あれ」と思ったときの印象だけはそのまま残っているので、その人物ともう一人の人物の関係がないように印象づけられてしまう。

叙述トリックというか、ファンサービスみたいなもの。『今はもうない』と同じような感じ。

ところで、この「仕掛け」って、「理系の人」なら会話の内容からすぐに理解できるものなんろうなぁ。あるいは「文系の人」にも微妙にわかった感を味わわせながら白々しく話を続けているとも言える。どっちにしても意地が悪い。