『フェニモア先生』、『神様のパズル』、そして『かまいたち』

最近買ったもの。読み中を含む。

『フェニモア先生、墓を掘る』

フェニモア先生、墓を掘る (ハヤカワ・ミステリ文庫)

翻訳ミステリとして消費中。「特殊な職業の一面をのぞける」「探偵が独自の倫理観を持っていて読者を共感させる」「読者をほんの少し先回りする(ときどき唐突な行動を取るように思えるが、すぐあとでその理由が書いてある)」といった書き口は心地よいが…

『神様のパズル』

神様のパズル (ハルキ文庫)

読了。ときどき思うけど、こういう(理系の学部を舞台にした)小説を高校生の時に読めていたら理系に進んでいたかもしれない。そういう意味では自分にとっては痛い。自分が物理学の知識に欠けるためSFとしてはちゃんと評価できません。

かまいたちの夜×3』

かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相

ファーストインプレッション。

オープニングデモすらないガチさ。何のもどかしさもなく、「2」をやった感覚を引き継いで始められる。というか、いきなり「3」を始めると、「2」を最近やっていた自分でも唐突さを感じる。導入部いきなり、シュプールのワイン蔵から鍵を見つけたりする。つまりシュプール篇からやって、脳内の「かまいたち」の設定をフルにアクティブにしておいてね、ということらしい。

単純に、分厚い小説を手にしたときのような期待感がある。チャートによればエンディングは80個。

まだ冒頭。冗談を交えた(脱力気味の)文章で、「2」の暗い展開は払拭されている。どこかでドスンと底が抜けたようにサスペンスフルになるんだろうか。それから、これは後で登場人物の時間軸を前後して読むから頭に入るようになるのだと思うけど、すごく展開が性急で説明がぎりぎり。

というか…逆か。ぎりぎりの見せ方であらましだけわかるように書かれているというか。

謎解きというか、ノンリニアな語りを楽しんでいく遊びなんだと思ったのだけど…うーん…本当にノンリニアかというとそこはちょっと疑問。話の流れをプレイヤーが操作しているように見えるけど、実は単に時間軸をばらけさせた小説を頭から順に読んでいるのと大差なかったりする。プレイヤーがそこまでの展開で知り得ないことはロックされてるから、読みが自由ということはないんだよなぁ。

もちろん、時間割チャートであちこちジャンプしてミステリ的な状況を確認できるから、小説より複雑なことができるとは思うけど、それは「本」としての拡張というか、翻訳ミステリの折り返しの登場人物一覧みたいなものなんじゃないだろうか。

そう考えると、今作はかなりガチのミステリ「小説」として楽しむものかも知れない。この時間割システムで超変装オチだったら怒ってもいいような。

…まぁこうやってだらだら語ってしまうくらいには期待してるし楽しもうと思います。