共和国日記

「居住の目的をお願いします」一昨日馬具屋で出会った30代の男が窓口に座っていた。彼は緑茶の中毒か何かかも知れない。傍らに先日と同じ自分の茶の入ったフラスクを置いているが、すでに半分以上がない。
「一応なにか書いていただかないと、正式に国民登録ができませんので」そうしてグリーンの罫線の入った申請票をわたしのほうに返した。わたしはこの男に自分の職業を明かすべきだろうかと思ったが、そんなことをしてはますます話がややこしくなりそうだった。不安定な机によりかかりながら、その場で<防衛の為>と書いた。
「これでいいですか」
「防衛って何から?」
「それは言えません」