イニシエーション・ラブのレッドヘリング(ネタバレ)

もうなんか「志村うしろ」なみに、釣りとわかっててもそういうふうに読もうとしちゃうわけですけども
「マ***ユ**」という名前の登場人物を「実はこいつがマユなんじゃねぇの? 鈴木はこの人のことをてっきりマユだと思ってました、みたいなオチとか…?」と疑わせるような工夫がされている。わざわざ開始数頁目に、カタカナで「はいはい、マ***ユ**はダメね」、と書いていたり、その人が自己紹介するときに眼鏡を外して顔を拭いたのでよく顔を見ていない、とかどうでもいいことを書いてたり。実際にはそこをつついても行き止まりなんだけど、その可能性に注意が向けられているために、真相に気づきにくい。

ミステリマニアは、叙述トリックを確認するために、最初の数頁を何度も読み返すという習性を持っているのだけど、そこを利用した叙述トリックのためのあからさまなブラフというのは初めて見た気がする。よくやるんでしょうけど…。